入社2週間の中途入社者が考える、オンボーディングを自走するためにあると嬉しいもの
10月に転職し、中途入社者としてオンボーディング期間を過ごしています。わたし自身は人事として今後社内のオンボーディングを整備する側でもあるので、入社者側を経験した貴重な記憶を残すべく、感じたことをメモしておきます。
ちなみにこのnoteには、私がオンボーディング期間に実際に「あったら良いのに」と感じた点も、用意されていたことで重要性に気づいた点も、両方含まれます。
まず知りたいのは全体像と期待値
まず知りたいのは、オンボーディングの全体像と、オンボーディング期間の終了時点でどのような状態を期待されているのかということです。
全体像とは、今後nヶ月間(オンボーディング期間)を通して、どのようなガイダンス・研修・機会etcが予定されているのか、どのような流れで進んでいくのかというイメージです。
それがわかると、「この範囲は〇〇というガイダンスでカバーされているだろうから、そこで確認しよう」とか、「〜〜についても気になるけど、自分で機会を作りに行ったほうが良さそうだな」とか、自分なりにどう動けばいいかを考えやすくなります。
また、オンボーディング終了時点で到達すべき地点がどこなのか、期待値のすり合わせは早期にしておきたいですね。
期待値は、「業務に慣れる」「チームになじむ」といった曖昧なものではなく、社内の等級定義など明文化された根拠をもとに、期待されている役割やポジションでのパフォーマンスを発揮するために具体的にできてほしいことや、アウトプットしてほしいものを指します。
全体像とセットで期待値がはっきりすることで、そこに到達するために何が必要か?を考え、自ら求めたり、機会を作りやすくなります。
情報の地図があれば、自分で取りに行ける
全体像と期待値がわかっても、必要な情報の場所がわからないと、キャッチアップの難易度は上が理ます。どういう情報がどこにあるのか、地図的なものがあると良さそうです。
社内wikiやイントラネットがあっても、初見者にはどこに何があるのかわかりづらいことも多いのでは。(各部門ごとに情報の整理構造が違っていたり、同じ類の情報が異なるカテゴリに置かれていたりなど)。
情報共有ツール上で、所属部門・チームの情報がどのようなカテゴリ・階層で整理されているか、ワークフローや管理表など業務上よく参照する情報はどこに置かれているのかなどが分かれば、自分で情報を取りに行きやすくなります。
具体的には「社内イントラネットの歩き方」的なドキュメントやリンク集などがあるといいのかなと思いました。
オンボーディングを自走するために知りたい情報
情報の置き場所が大体分かったうえで、具体的にどんな情報があるとオンボーディングを自走しやすいのか、オンボーディング中に思ったことをいくつか挙げてみます。
これらの情報がまとまっており、アクセスが簡単だとありがたいです。
メンバーの顔と名前、Slack IDの一覧
これは切実です…。人事という職種柄、顔と名前の一致の切実度は高いとは思いますが、入社する側の気持ちとして、顔と名前が一致する人が増えるだけで、グッとコミュニケーションがしやすくなりますよね。
自己紹介のまとめはあっても顔写真がなかったり、Slack IDと本名が全然違う人がたくさんいたりすると、顔と名前(とSlack ID)が一致するまでに時間がかかります。
組織に馴染んでいく上では必須の情報ですし、全員参加のミーティングなどで一覧を見ながら「今話しているのが〇〇さんか」と確認したり、「さっきすれ違った方は〇〇さんかな」などと記憶が捗るのでありがたいです。
できれば、名前だけでなくそれぞれの業務内容や詳しい領域についての情報もあると「この分野なら誰に聞く」が新参者にもわかるので、相談しやすくなります。
組織図
誰がどこのチームで、どんな仕事をしているのか。あのチームのマネージャーは誰なのか。
一人一人の自己紹介を読むよりも、組織図という形の方が組織の全体感を把握しやすい気がします。
人事という職種柄というのもあるかもしれませんが、わたしは入社してから毎日見ています。
コミュニケーションやミーティングのガイドライン
「Slackのメンションは休みの日でも退勤後でも気にせずにしよう」「関連する情報のリンクを必ず貼ろう」「mtgはこういうルールで設定しよう」など、社内の人とやりとりするうえで知っておいた方が良いルールやガイドラインはドキュメントされていると嬉しいですね。(もちろん、ガイダンスなどの形式でも助かります)
個人的な感覚ですが、チャットの使い方の習慣は組織によって結構違いそうです。事業やチームの現状理解を進める上でも、もし社内で共有されているお作法などがある場合は、分かっていると安心して発信・相談できます。
中長期の事業計画、目標や方針
ポジションや等級によって必要度合いは違いそうですが、今年度の事業の方向性や各部門ごとに注力するテーマなど、中長期の方針がわかっているほうが、日々の業務がどこに向かっているのか、なぜ現在の指標や目標を追っているのかがわかり、結果として自分で考えられる範囲が広がります。
そのような大きめの方針やテーマは、年度の初めや四半期ごとなど一定の区切りで全社に向けて共有されることが多く、週次や月次レベルの会議では登場しなかったりします。年度のキックオフや社員総会のようなイベントの資料や録画データなどがあれば共有されているとありがたいです。
どんなSlackチャンネルがあるか
自ら情報をとりにいくうえでは、Slackなどチャットツールの活用は欠かせません。
そのため、業務上参加必須のチャンネルだけでなく、「こんなチャンネルがあるよ」という情報があると任意で参加しやすくなりありがたいです。
全部がまとまっている必要はありません(というか無理そうです)が、趣味や雑談のチャンネル、所属チーム以外の各チームの活動拠点チャンネル、部活動のチャンネル、分報チャンネル、通知系チャンネルなどで主だったものをまとめておくとか、そんなイメージです。
また、チャンネルの説明欄が空欄だと、自分が入るべきチャンネルなのかが判断しづらいので、どのような目的でどのようなトピックを使うチャンネルなのかがわかると助かりますね。
その他、細かいあれこれ
細かいですが、こんなものもあると自走しやすいです。
一度に多くの人と話せる場
ウェルカムランチとか、ウェルカムパーティーとか、なんでも良いので一度に多くの人と話せる場があると、「顔見知り」を早く増やすことができ、ちょとしたことでも質問しやすかったり、知っている方経由で繋げてもらうお願いをしやすかったりします。
ただし、フリートーク的な場で一人きりで話しかけて回るのは結構勇気がいる(しかも顔と名前が一致していないので、「お名前聞いて良いですか」から入る)ので、欲を言えば、「新しく入られた⚪︎⚪︎さんです」とアテンドしてくださる方がいたり、参加者が名札をつけていると人見知りの方でも心強いのではないでしょうか。
PCの設定や各種ツールを自分好みに設定する時間
辞書登録やタスク管理、メモなどのアウトプット環境など、ガイダンスや研修でのインプット効率に関わる設定は、入社初日のできるだけ早いタイミングで済ませてしまいたいです。一日中ガイダンスで埋まっていると時間が取れないので、適当な空き時間があるととても嬉しいです。
一人の時間
入社直後は大量の情報を浴びているので、一人の時間があっても意外と困らないどころか、インプットしたことを整理したり、自分なりに調べたりできて助かります。
「自走しやすい」オンボーディングは、入社者と受け入れ側双方にとってプラス
ポジション・役職などによっても事情は変わると思うのですが、受け入れ側が色々と情報を提供するだけでなく、入社者側も自走的にキャッチアップできれば、共通のゴールにより早くたどり着けます。
また、何から何まで手取り足取りサポートするのではなく、無理のない範囲で入社者が自力で進めていける設計にしておくことで、受け入れ側のキャパシティやサポート可能なタイミングをオンボーディング進捗のボトルネックにしない状況を作れるのではないかと思いました。
お読みいただきありがとうございました!