シェアメイトと起業、そして資金調達へ
ホテルバブルの始まり
2013年9月、2020年夏季五輪の開催都市を決める国際オリンピック委員会がブエノスアイレスで行われTOKYOが選出されました。
「お・も・て・な・し」を合言葉にホテル開発が加熱する中、独立して日々営業活動に勤しむ私にも民泊やホテルのインテリアデザイン業務が舞い込んでくるようになりました。
当時のホテルオーナーからは、Fujiyama、Hokusai、Kabuki…といった日本人が考える“日本らしい和”を前面に押し出した内装の要望が多く寄せられましたが、「ホテルは観光地ではない。ホテルはゆっくりと安らげる空間であるべきであり、日本の素晴らしいカルチャーに触れてもらうのは浅草寺に任せましょう」と根気強く提案し続けた結果、納品したほとんどの施設はオープン初月から黒字化し、感謝の言葉をいただくことも多くなりました。
ウォルト・ディズニーから学んだこと。
強い言葉かもしれませんが、お客様や投資家からの要望だけを聞いていても感動を呼ぶほどのホテルを作ることはできません。
ここで僕がホテル作りにおいて影響を受けた本の一文を紹介します。
“およそ人間の想像できるもので創れないものはない“と明言を残しているウォルトディズニーの伝記“創造の狂気“の中でウォルトは「僕はもう自分の時間とお金を自分以外に使わないと決めたんだ」という言葉を残しています。
実績もお金もなく、様々な人からの要望を聞き、人が求めているものを、ある時には創りたくないものを創り、日銭を稼ぎながら会社を経営した結果、成功するまで三回会社を倒産させ、逃げるように東海岸から西海岸へ戻る列車の中で奥さんに涙ながらにこぼした言葉がそれでした。
結果論かもしれませんが、その後ミッキーが生まれ、誰よりも自己中心的で傍若無人な人間が、100年後、誰よりも人を幸せにしました。
誰よりもプロダクトファーストで経営を行い、その狂ったような熱狂から生まれるものは、最終的に誰かを幸せにできる力を持つのだと思います。
昨今、時代にアジャストしている商品/サービスが増えている中、自己中心的かもしれませんが、誰よりも強い願望で商品作りを行うことで、世の中の笑顔の総量を増やすことができると信じています。
シュアメイトと起業
当時僕が住んでいた下北沢のシェアハウスには30人の多種多様な変人が住んでいました。
同じ屋根の下で毎日のように顔を合わせ、朝まで夢を語り合い飲み明かし、一緒に仕事をするようになり、まさに人生が変わるほどの出会いと体験がそこにはありました。
また、訪日外国人観光客数はすごい勢いで伸長し、2017年6月に民泊新法が制定されたのを機会と捉え、日本に訪れる人に対して、強烈な原体験でもある「人生が変わるほどの出会いと宿泊体験を創り出す」ことで世の中に貢献できるのではないかと思い、2017年12月にシェアメイトとホテルの開発・運営を行う"株式会社BARE NOTE STUDIO"を設立しました。(今でも5人のシェアメイトと一緒に働いています!)
初めての資金調達
会社を作るまでは良かったのですが、ホテルを作るには何かとお金が必要で、創業融資で公庫からは数百万円を借りることはできましたが、ホテルを作るのに最低でも2,500万円と概算していましたので到底足りません。
なんとかお金を集める為に、また、とにかく人に会うことをはじめました。
ホテル市場の好調もあって、ある程度興味を持ってくれる人はいましたが、事業計画もプレゼン資料も作ったことなかったので、とにかくビジョンを語るとっても情緒あふれる提案をさせていただき、一蹴され続けたのを覚えています笑
それでも、何がダメなのか、どうすればお金を出してくれるのかをしつこく質問し、昨日言われたことを直してきました!!、と投資家さんのオフィスにアポ無し訪問を繰り返した結果(今考えたら大迷惑。すいませんでした。)、"黒木さんにだったら投資失敗しても後悔しない"とおよそ根気負けに近い形で、ようやく事業への出資が決まりました。
投資家さんにもペンキ塗りを手伝ってもらうなど、ギリギリの予算と納期ではありましたが、2018年4月にSHIMOKITA HOSTELをオープンし、初月から利益率30%の黒字化することができました。
たとえ何者でなくても、実績がなくても、動機が善であり、私心がなければ、応援してくれる人はどこかにいる。そう思います。