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子供の弁当

 私の子供達はカナダのエレメンタリースクールに通っていて、子供達の学校は給食が無いので、私は毎日子供達に弁当を作っている。
弁当を作っている。なんていうと、卵焼きを焼いて、他にもおかずを2、3品入れる日本のお弁当を想像されてしまうが、全くそんな立派なものではないし、子供達に対しても申し訳ない気持ちになるレベルのものである。
それでも一応弁当箱を使うので、当たり前だけど、毎晩それを洗わなければならない。
 弁当箱とフルーツとスナックを入れるランチバッグを子供達に持たせているのだが、毎日、朝とは全く違う中身で帰ってくる。
このランチバッグを開けるとき、毎回ワクワク、ドキドキする。
全部食べたのか?これは嫌だったか。これなら食べるのか。
それだけなら平和な日だ。
「え?これ何?」
こういう日もよくある。
予想外なものが入っているのだ。大体は学校のスナックプログラムでもらってきたおやつだ。
おやつが出るのは分かってはいても、弁当箱を開けて、メロンが一切れ食べ残したふりかけご飯の上に乗っているとビビる。
でも1番今までで強烈だったのはあの日だ。
 いつものようにバックパックからランチバッグを出したら、重さが朝よりも重い気がした。食べなかったのかなー?と呑気に開けたら白い海が現れた。
悲鳴が出た。
一瞬、脳がフリーズしたが、すぐにそれはランチプログラムの牛乳だと分かった。
牛乳は1番こぼしちゃダメな液体だ。臭くなる。とにかく臭くなる。
5歳の息子を責めても仕方ないので、怒り心頭だが、どうにか落ち着きを取り戻し、「牛乳とチョコレート牛乳は家に持って帰ってこないで学校に捨ててきてね。」と息子に伝える。
しかし、この後の処理の工程を考えるだけで、白目を剥きそうになる。
まず、牛乳はどこまで滲み出ていたのかをチェックする必要がある。
ランチバッグだけで被害が済んでいればラッキーだ。
しかし液体は無慈悲にもランチバッグをすり抜け、バックパック、中に入っていた物たち、バックパックの外側のポケット、全てに牛乳臭をつけていた。
暫し天を仰いでしまうほどショックだったが、早く洗って乾かさないと明日も学校だから困るので、我に帰ってバスルームで無心に洗った。
洗い終わって、少し冷静になって息子に聞いてみた。
「学校でみんなと牛乳飲んだの?」
「飲んで無いよ」
「え?飲まなかったの?」
「うん。開けただけ」
「ん?開けただけ?」
「うん」
「そっか、、、」
驚いた。開けたけど、一口も飲んでない牛乳パックをランチバッグに入れたとは。5歳児、恐るべし。
 三人兄妹の末っ子の息子はまだまだこれから何年も弁当を持って学校に行く。私はただただ、これを超える日が来ないことを願うばかりだ。





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