親子ワーケーションで越前市のファンづくり ikumado越前市ワーケーション報告 <越前市観光協会ご担当者インタビュー>
育休&共働きコミュニティikumadoを運営する株式会社COEOは、2023年8月、前年に続き2度目の親子ワーケーションモニターツアーを開催しました。これは、越前市観光協会と連携して開発したものです。
一般社団法人越前市観光協会 企画開発グループ 総括ディレクター宮地広樹さん、小形真希さん、前澤拓哉さんに、親子ワーケーション企画開発の経緯と実現までの苦労、今後の展望などについてうかがいました。
新たな観点からの越前市の魅力に気づき、親子ワーケーションを企画
小形:2022年1月、株式会社COEO地域イノベーション事業担当の梶並さんが越前市にいらしたことがきっかけでした。新幹線開通を控え、多くの方とお会いする機会がありますが、梶並さんはほかの人と違う着眼点で越前市の魅力を語ってくださいました。
その魅力とは、女性の職人さんが最前線で働いていることです。子育て中、子育て後の女性が、キャリアを諦めずに働いています。私たちは当たり前に思っていましたが、梶並さんから「働き続ける女性を受け入れる寛容な風土がある」と言われ魅力であることに気づきました。
「親子ワーケーションによって、都会で働く人に越前市の環境を知ってもらうとともに、故郷をもたない人のふるさとづくりにもなる」と提案いただき、チャレンジしてみたいと思いました。
宮地:当初、今まで考えたこともない「ワーケーション」というものが実現できるのかと懐疑的な部分もありました。部内で協議し、事務局長の後押しを受けて、実験的に取り組んでみることになりました。
この数年間、クラフトツーリズム(ものづくり観光)を推進してきましたが、梶並さんと話してまったく違う観点から地域の魅力を知りました。そこにまったく手をつけないのはもったいないと考えたのです。
また、私自身長く大阪の都市部で働いていて、越前市の山と田畑に囲まれた環境で働くことを心地よいと感じていました。親子ワーケーションを通して、都会で暮らす子どもたちに、違う世界があることを見てほしいという思いもありました。
これまでにない仕事に手探りで挑戦
宮地:親子ワーケーションを受け入れるのは、観光客へ提供するものとはまったく違うコンテンツが必要になります。
子どもの体験や農家民泊など必要なことを洗い出し、普段接していない人との関係をつくることからのスタートでした。すべてが手探りで、大変なことばかりでした。
小形:私たちの仕事は、自治体で定めている「観光振興プラン」に則って企画したものを、自治体から予算を得て施策として行うという能動的なものがほとんどです。一方、親子ワーケーションは、着眼していなかった視点から提案を受けた、受動的な事業でした。
これまで経験したことのないもので、補助金の獲得などにも苦労しました。難しいことはわかっていましたが、移住定住にもつながり得る将来的な可能性が大きい事業だと考え、開拓していきました。
子どもの笑顔に達成感 チャレンジの経験はグループの糧に
小形:今回、4家族13人が参加しました。その人数を受け入れるために、自治体の子ども家庭課や教育委員会、地域活動をしている方を巻き込んで準備する必要がありました。準備を進めるなかで、子ども家庭課の課長から「とてもよい事業だから協力する」と言ってもらえたことが、嬉しく、また心強く感じました。
街にとってキャパシティオーバーだと思っていましたが、実際に受け入れられたことでポテンシャルに気づけました。
宮地:初めてのことは怖いものですが、チャレンジして試行錯誤した結果、満足していただけたと自負しています。課題もたくさんありますが、やってみたからわかったことです。この経験は、今後ほかの事業を進めるうえでもプラスになると思います。グループみんなが、この経験によりステップアップしたのではないでしょうか。
前澤:私はワーケーションの間、参加者の皆さんと一緒に過ごしました。そのなかでお子さんたちの笑顔を見て、がんばった甲斐があったと嬉しく思いました。スイカ割り体験や竹を使った流しそうめん、ソーセージ作りなど、初めて経験したお子さんが多かったようで、楽しそうでした。
親御さんからテレワークがはかどったと言っていただけたことも嬉しかったです。
プロジェクトに携わった人は、今後に前向き
前澤:関わってくださった地域の方は皆初めての取り組みでしたが、どうしたら参加者が喜んでくれるのか一生懸命考えてくれました。
流しそうめんなどを行った「赤坂みらい塾」の大森さんは、最初は何をしたらよいか悩まれていましたが、いろいろアイデアを出してくださいました。
地域文化を体験できる「ロハス越前(もやいの郷)」の田中さんも、体験プログラムをいろいろ考えてくださり、終わると「また親子ワーケーションを受け入れるのであれば一緒に」と言ってくださいました。
農家民宿の「天女さんち」のオーナーさんは「もっと子どもと一緒に過ごしたかった」とブログに書いてくださっています。
小形:ロハス越前の小栁さんには、「都会から子どもが来て風土に触れてもらえるのはいい事業」と言ってもらいました。
観光協会が地域の施設との関わりをもつことは少ないので、そのような感想を聞けるのは新鮮でした。領域を横断している事業なのだと改めて感じました。
宮地:実際に携わった方は、皆さん受け入れてみてよかったと感じてくれているのではないでしょうか。一方で、携わっていない方のほうが多く、温度差があると思います。
私は4年前から越前市観光協会で働いていますが、当時はクラフトツーリズムについてもごく一部でしか理解されていませんでした。工場の方たちは「見るものは何もない」と言っていたのです。時間をかけて観光客にとって魅力があると知ってもらい、協力していただけるようになりました。
ワーケーションは今回初めて行ったことなので、これから協力してくれる人を増やしていきたいと思っています。
自治体とともに継続して親子ワーケーション事業に取り組みたい
小形:2023年に越前市観光協会が第16回産業観光まちづくり大賞で「金賞」を受賞しましたが、クラフトツーリズムも最初から盛んだったわけではありません。伝統工芸を伝える観光まちづくりをしていこうと始動してから、10年ほど経っています。多くの人の協力を得て、自治体の観光振興プランがあって実現できたことだと思います。
親子ワーケーションについては、移住定住の推進につながる、将来性が大きい事業だと思っていますが、それは自治体として取り組んでこそできることです。
また、ワーケーションを受け入れたいと思っても、すぐに来てくれる人が見つかるわけではありません。共働きを支援するikumadoとパートナーとなったことで、実現に近づけています。今回の取り組みは先進的で、ほかの地域ではできないことだと思います。
宮地:移住定住は極めて難しいことですので、親子ワーケーションをきっかけにまずは越前市のことを知ってもらいたいと考えています。そして、気に入って繰り返し来てもらい、第二のふるさととなれたら嬉しく思います。
今回のワーケーションの起案者・梶並さんのインタビュー記事はこちら↓
https://note.com/ikumado777/n/nba1c1cf87a3c
育休&共働きコミュニティikumadoとは
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