明治神宮外苑は、民間の土地だから関係ないって?
明治神宮外苑再開発を都知事選や議会質問で取り上げると、「外苑は民間の土地だから都は口出しできない」とか「民間の開発だから、都民も口出しできない」と言った批判があります。
現在も外苑の土地は6割強明治神宮が所有するが、それ以外の土地があることを忘れてはならない。
<もともとは国有地>
1年ほど前の東京新聞の社説にもありますが、
<社説>明治神宮外苑再開発 憩いの土地は誰のもの:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
そもそも明治神宮内苑も外苑も国有地でありました。
内苑については、神宮に無償譲渡、そして外苑は国の管理のはずでしたが、大幅な払下げ(半額)によって神宮に渡されたものです。
そこには条件がありました。国民が公平に使用できることや、アマチュアスポーツの趣旨にのっとり、使用料・入場料を極めて低廉にすることなどです。
しかしながら、現在進められている計画では、神宮第二球場やフットサル場、バッティングセンターなどは廃止され、残るのは、神宮球場と秩父宮ラグビー場、テニスコート、そして高層ビルが立ち並ぶこととなります。
新国立競技場が近くにありますが、国際大会で活用されたサブトラックまでが廃止になるという計画です。
世陸東京開催 後押しした「国立サブトラック問題」解決 一方、維持費年間24億円捻出はどうなる― スポニチ Sponichi Annex スポーツ
陸連が2021年に「五輪を開催した競技場はサブトラックなしでも第1種公認陸上競技場とする」と規則を改定したのも不思議な話です。
そもそもスポーツクラスターをつくるというオリンピック誘致のときの文言は、どこへ行ったのでしょう。
<土地の権利変換計画>
再開発計画では、秩父宮ラグビー場(JSCの管理運営)と神宮球場(神宮所有)の場所が入れ替えとなります。ここで重要なのは、両者の土地の値段が違うということです。現在の秩父宮ラグビー場の土地の方が格段に高い。日本スポーツ振興センター(JSC)は国の独立行政法人ですが、ここが敢えて損をして、交換するのでしょうか。
この権利変換の金額等については、都議会で質問しても「法令に則って実施する」という旨の答弁のみです。
<公園にビルが建つ>
明治神宮外苑は、民間の都市再開発になっていますが、土地はすべて民間ではなく、また国民の利益に供するようにできた都市公園に匹敵するコモンズなのです。
公園に高層ビルが建つというのは聞いたことがない。
条例でも法令でもない、議会に付議されることのない東京都の要綱がいつの間にかありました。「公園まちづくり制度」です。
これによって、未供用の土地に再開発ができるとしたものです。
国際機関のイコモスが2023年9月にヘリテージアラートを発出したことを忘れてはなりません。
ヘリテージアラートプレスリリース日本語訳2023年9月7日.pdf (icomosjapan.org)