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聖黒よもやま話

 推しを考える時、つい人生の終着点を妄想してしまうのだけれども、山内練に対してはあまりイメージが沸かない。それは恐らく「聖なる黒夜」が彼の自殺(未遂)のシーンから始まるからかも。

 練は現在(令和3年)に生きていたとしたら62歳になっているが、とっくに天寿を全うしていそうな気もするし、湘南をゴリゴリのスポーツカーで走っていそうな気もする。ただ、麻生龍太郎とは一緒にいない予感。この二人は大好きなのだけれど(カップリングとしても)何故か明るい未来が見えてこない。
 麻生と練の考え方が平行線っていうのもあるだろうけれども、結局麻生は限りなくヘテロに近いバイセクだと思うので、練でなくとも同性を隣に置いておく事ができない気がする。と、いいつつちゃっかり外国で(田村案)のんびりバカンスしてるかもしれないけれどもね!
 とりあえず練が一人でいるのはさておき、麻生が還暦超えて一人でいるのは猛烈に物悲しさがあるのは何故だろう……それでも及川は優しいから(一生麻生に甘い)なんだかんだと世話を焼いてくれるかもしれないけど。(ハワイの土産とか持ってきてくれる)

「聖黒」は、ストーリーは勿論のこと、キャラクター一人ひとりの熱量が本当に凄い。作中で練や、麻生や、及川や、韮崎が間違いなく自分と同じ性を持つ人間に「恋している」という表現があるからこそ、そこに生を感じるのかも。
 そしてこの四名、誰も恋愛を成就できていない所がまたどうしようもなくエモい。(及川は若イラという素敵な恋人をゲットしたが)
 人が人に恋をする時に理由はないのだろう。と思わせたのは誠一と練。誠一が練の何処に惚れ込んだのかという事は恐らく誠一にしか分からないと思うけれども(誠一すら分からないかも)あの暴力的な男が、死にぞこないの男にハマってしまったのは何故か。「死にたがってたけど、コイツやりゃあできるじゃねえか」というような簡単な気持ちではなく、切っ掛けなんてなかったんだろうな。(庇護したい気持ちと、思い通りにならない感情のごった煮)

 練に惚れた、というならば麻生もそうなのだけれども、麻生は練の何処が好きだったのかと考えると自分でも言っていた「一緒にいて気を使わなくていい」という点か。
 及川には甘えまくってるけど、それでもやはり先輩後輩関係だった事で無意識的に気を使っていた所はあるだろう。(と、いうか恋愛だけでなく家族や友達関係だって一切の気遣い無しで成立する関係なんて無いと思う)
 後はテクの上手さだとか、年より随分若く見えるキレイな容姿だったり(男性性をあまり思わせない)もあるかなと思うけれども、やはり麻生の根底には彼の「冤罪」がへばり付いているから、それを何処かで赦されたいのだと思う気持ちからの、愛情。というと複雑すぎるかもしれないけども、とにかく麻生は自分自身のセクシャルとかその奥にある気持ちに答えを出せないのは、及川の時から変わっていない。でもこれは性格というか性質だから、言われて変えられるものじゃないので……でも麻生のこういう人間臭くて自分の気持ちに不透明な所大好きです。

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 目が痛くなる


 次。及川純。
 丸腰さんもおっしゃっていたけど、彼は情が深いと思う。誠一も深いしね。故にこっぴどくフラれた相手の世話をやけるし、再び友達として付き合う事ができている。が、そこにきちんと線を引いているのが及川。
 若イラの存在と時間が解決してくれた事もあるだろうが、もう及川が麻生の手を(恋慕を含んで)取る事はない。それでも及川にとって麻生龍太郎は永遠の男なのだろう。もう自分自身でも説明がつかないレベルの気持ちがそこにある。
 及川と麻生のはじまりは、及川の引退の日に麻生が物欲しそうな目をした事によるけれども、つまりもうその時点で及川は麻生が好きだったわけですよ。
 ……そんなのエモすぎる…

 ここも一体いつから?!と問いただしたくなるも、きっと気づいたら〜っていう感じなんだろうな。
 麻生とか結構しつこめに「ねえねえ純って、いつから俺の事好きなの?」って聞いて「あー……覚えてねえよ」って言われても「えー何かあるでしょう。いつ?去年の夏はどうだった?」って聞くから「うるせぇ!!!!」って殴られる。照れ隠しかな……純。

 何にせよ、男同士のクソデカ感情って本当に美味しいですよね……


 おわり