ヒノマル【読書記録】
古市憲寿さんの「ヒノマル」読了しました。
十年程前から近現代史が好きで特に昭和初期(20年前後)は興味があり、タイトルの「ヒノマル」で即、手に取りました。
これまでも太平洋戦争期の話は多々読みましたが、戦時中という事をよい意味で失念してしまう様な爽やかさが終始あり、約二日で一気に読み更けてしまう程の疾走感。
ネタバレにならない程度にざっと感想をまとめると、愛国心あふれる勇二という少年が、恋や友情経てその価値観を変化させていく、その道程に知らずの内に強く惹かれていった。
私は戦争を知らない世代で、いくら関連書籍を読み漁ってもそれは紙の上の知識でしかない。私が産まれる前に他界した祖父は近衛兵として太平洋戦争に赴いたと聞いているけれどもその祖父が生きていたら、どんな事が聞けただろうかと思ったりもしたが、物静かな祖父は戦争中の話は殆どしなかったらしい。恐らく戦時中を生きた人々は私達が想像するよりもずっと思い返す事も憚れる様な日々だったのでは…と。
ヒノマルを読み、今このコロナ禍の日本と僅かながらにリンクする所を感じたり、また戦時中に生きる若者の気持ちの新しい欠片を見たような、そんな気がしました。
最後にこれだけ…ケイスケの勇二への友愛の気持ちは真夏の青さを感じさせてくれる、夏の芳香の様な清らかさが素晴らしかった。