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トヨタ出資のe航空機Joby AviationがSPACで上場か:評価額は57億ドル

Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)は、昨年トヨタがリードしたラウンドで5億9000万ドルを調達し、Uberの空飛ぶタクシー事業であるUber Elevateを昨年買収した会社です。

同社は100%電動の垂直離着陸機(eVTOL)を開発しており、2023年にeVTOLでタクシー事業への進出を計画しています。

2月13日のFinancial Times紙の報道によると、上場を目指してSPACとの合併交渉をしていると報じられました。

合併相手と噂されるSPACは、Linkedinの共同創業者のReid Hoffman(リード・ホフマン)とゲーム会社のZyngaを創業したMark Pincus(マーク・ピンカス)が率いるReinvent Technology Partnersと言われています。

この合併が成立すると、先日報じられたArcher Aviationに続いてeVTOLの開発企業が立て続けに2社上場することになります。

Archer Aviationの上場については、詳しくNoteで紹介しているので、こちらを参照ください。

e航空機のArcher AviationがSPACを通じて上場へ
https://note.com/ikujidaddy/n/n46317162fa64

航空機開発で先行するJoby Aviation

Joby Aviationは2009年にカリフォルニア州サンタ・クルーズで創業したスタートアップで、これまでにUberやトヨタ、インテルや米航空会社のジェットブルーのCVCなどから8億300万ドルを調達しています。

創業者のJoeBen Bevirt(ジョーベン・べヴィート)氏はスタンフォード大学の機械工学出身のシリアルアントレプレナーで、これまで4社のスタートアップを立ち上げイグジットし、その資金でJoby Aviationを立ち上げたとのこと。

エグゼクティブチェアマンにはピンタレストの共同創業者のPaul Sciarra氏が就任しています。

Joby社は既にプロトタイプを持っており、600回のフライトも実施しているとのことです。2019年には米国空軍(US AirForce)の実証プログラムに参加するなど、着々と開発が進んでいる印象があります。

まだプロトタイプもないArcher社とはことなり、Uberの空飛ぶタクシー事業の買収などとも合わせて、eVTOLの領域では先行している企業といえそうです。

単なる上場の器ではない:Reinvent Technology Partnersの思想

Reinvent Technology Partnersは上述の通り、Linkedinの共同創業者のReid Hoffmanとゲーム会社のZynga創業者のMark Pincus、および投資家のMichael Thompsonが立ち上げたSPACです。

同社は2020年9月にニューヨーク証券取引所に上場し、6億ドルを調達しています。

著名なエンジェル投資家であり、ベストセラー著者としてスタートアップコミュニティの思想家でもあるリード・ホフマン氏はReinvent Technology Partnersの設立にあたり「Reinvent SPAC」というエッセイを記述しています。

その内容を簡単に抜粋すると以下の通りです。

SPACが注目されている理由は、従来のIPOプロセスにイノベーションが欠けているためです。大半のIPOは、特定の投資銀行が牛耳り、ロードショーを通じて、リスクを取ることを好まない機関投資家に株を売るだけです。結局、IPOはコストと時間をかけて、スタートアップや投資家がもつ価値を、投資銀行やその顧客に移転するだけなのです。〜中略〜

私たちが設立したReinvent Technology Partnersは「規模のあるベンチャーキャピタル」と呼んでいる、通常とは異なる機会を探索します。〜中略〜

Reinvent Technology Partnersはこれまでの公開企業の投資家と異なり、ベンチャー・キャピタリストのように行動します。上場のタイミングで一度だけ支援するだけでなく、長期的な財務面での共同創業者として行動するのです。

リード氏はSPACを、これまでのVCとIPOの中間に位置するものと定義づけています。伝統的なIPOにおいて、機関投資家の役割は上場引き受け時に購入し、その後適切なタイミングで売却して終わりな例が多く、継続的に経営に関与していくインセンティブは強くありません。一方、VCはIPO前は取締役などに入り手厚く支援しますが、IPO後は自社の手から離れてしまうケースが多いです。

SPACの場合、スポンサーが合併による上場後も継続的に関与することが求められるために、上場後もVCのような手厚い経営支援が仕組み上行われます。リード氏はSPACを通じて上場後の企業の成長支援も手がけていきたい、という想いを持っているようです。

自身が上場に成功したスタートアップの創業者であり、エンジェル投資家で数々のスタートアップを支援してきた中で感じた、スタートアップの資金調達の市場構造における欠点を、SPACが補えるポテンシャルを持っているのだと感じているのでしょう。

現在のパフォーマンス

以下が上場以来の同社の株価チャートです。Joby Aviationとの合併観測が出てきたことを受け、急速に株価を上げています。

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Archerも合併アナウンス後の株価は非常にポジティブに反応しており、eVTOL市場への投資家の期待を感じさせます。ユナイテッド航空を味方につけたArcherと、既に実績を出してきているJobyと、果たしてどちらがこの市場の勝者になるでしょうか。

ちなみにe航空機の領域には、ドイツのスタートアップのLiliumがおり、Jobyとならんで上場観測が高いスタートアップとのことです。

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