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 今日は一日中、息子の便の話やミルクの濃度の話に心が揺れ動いた。息子の便から少しだけ血が出たと聞いて、一瞬心は冷えた。でも、医者は冷静だ。「ミルクの濃度は下げずに、このまま様子を見よう」と。これが僕への診療なら、「飲酒量を減らさずに様子を見よう」と言われるところだろう。まあ、僕にとってどちらも悪くないニュースだ。

 妻からも安心の報告が入った。息子はミルクの時間まで機嫌よく過ごしているらしい。おしゃべりも多くなってきたとか。作家の卵かもしれない、と妻と僕は半ば冗談で話した。

 さらに、懸念していた体重も少しだけ増えていたという報告。これはまさにビッグニュースだ。ガゼルがサバンナで新芽を見つけたような感じ。まだ小さい成長だけど、それは確実に前進している証拠。ガゼルは新芽を食べ、我々は新しい希望を感じる。

 慎重に、だが後退はせずに前へ進んでいく。なかなか良い方針で治療を進めてもらっていると感じる。僕もこの方針を自分の人生に取り入れようと思う。後退しない。後退するくらいなら、ジャズを聴きながら前進する。後退するくらいなら、妻に送るレトルト食品の種類を増やす。後退するくらいなら、新しいカクテルのレシピでも覚える。とにかく、前に進む。

 まあ、それがどれだけ簡単かは別として、少なくとも希望はある。そしてその希望は、僕らの小さな家族を支えてくれる。今日も、明日も。おそらく、明後日も。希望がある限り、前に進もう。それが僕ら家族の新しいモットーだ。

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