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私が消防士になった理由。

「こんな私でも、人の命を救えるかもしれないから。」


なんて言えたらね。
少しはカッコよかったかもしれない。


でも、現実はどうだろう。

もし、将来、命を救う仕事がしたいという子どもがいたら、ほとんどの子は医者を目指すだろう。


私は、特に夢もなく生きてきた。
勉強もほどほどにしかしてこなかった。
体を動かすことは好きだったので、体力には少しだけ自信がある。

んで、たまたま受かった消防士になった。


そう、たまたま。


ぶっちゃけ、私の消防本部に高学歴の人はほぼいない。

もちろん、東大・京大はいないし、有名大学の医学部卒もいない。

聞いたことがあるのは、有名私立大学が数名、私含め地方の国公立大学が時々いるくらいだ。

偏見ではあるが、消防士になるために、勉強をがむしゃらにやって結果を出してきた人はいない。

私は企業の内定もあった。
ただ何となく消防士が良いかなと思って、企業の内定を辞退させてもらった。

人の命を救うことは、もちろん容易ではない。

いち消防士が、人の命を救う可能性は限りなく低い。


火事場から人を救い出すなんて、消防人生で1回でもある人のほうが少ない。

心肺停止から、蘇生して社会復帰させるのもごくわずか。

ほとんどの消防士は、人の命を救えることはない。

そもそも、仮に命が助かったとして、それは消防士の活躍は少しで、近くに居合わせた人やそれこそ医療従事者のおかげだ。

なぜ消防士になったか?

「なんとなくです。」

残念ながら、私にはカッコいい回答はできない。


ただ、消防士を辞める時、なって良かったなって思っていたい。

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