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大地が砂になり
宙に都市を作った

昼の陽と夜の灯りは
砂の大地に陰を映す

昼の陰は謙虚だ
白日の元に晒された都市は
輪郭がハッキリ映り
陰の存在が薄くなる

しかし夜の陰は脅威に変わる

都市を覆い
存在をあらわにする

薄暗の中に浮かぶ都市は
細部が隠れ
見えない部分が増えていく

闇に恐れるかと思いきや
次第に見えないものを見たくなり
想像を掻き立てる

大地に映る陰を眺めながら
宙の生活も悪くはないが
大地に住んでいたあの日を思い出す

懐かしい思い出が
陰により無限に広がり

今にも手で掴めるほどの
現実味を帯びだした

夢か現実か

曖昧な世界を作りだす陰には
現実以上の世界を創造する力がある

砂の大地に映る大きな陰よ
その創造の力で

故郷の夢を見させてくれ

「陰は口ほどに物語る」より
2024年8月2日〜4日、大阪・北加賀屋にある千鳥文化にて開催した、空中建築展「陰は口ほどに物語る」と連動した作品集に掲載した詩です。

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