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CTOで事業責任者とは何事で、何を考え、何をやっているのか

こんにちは。ヘルスケア領域で「AIメンタルパートナー アウェアファイ」というプロダクトをつくっているスタートアップでCTOをしている池内です。

今回は、CTOかつ事業責任者というポジションで仕事をしているひとってどのくらいいるんだろう、あわよくばつながりたいなぁ、という気持ちをはじまりに、 自分の働き方や考え方をシェアしてみようというものです。5%くらいは、最近規模が大きくなった当社のメンバー向けの自己紹介であったりもします。

組織体制について

現在アウェアファイでは、事業部でいうとB2C事業部とB2B事業部からなり、スマホアプリとしてのプロダクト「アウェアファイ」は B2C事業部に属します。僕はそのB2C事業部の事業責任者をしています。

株式会社Awarefy 組織図(簡略図)

上図のとおり、アウェアファイはハイブリッド組織で、縦軸を事業組織、横軸を職能組織とし、各自が専門性を活かしながら、事業を成長させるということにコミットメントするという方式をとっています。

CEOとの責任分担

当社の代表取締役CEOのおがわーる @ogawaal は、ファイナンス、B2B事業部、コーポレート、研究(アカデミア方面)、その他諸々に責任を持ちます。マーケティングチームのマネジメントもCEOの管轄です。

池内は、B2C事業部の事業責任者を務め、(今はB2C事業の構成比率が高いため)開発チームをはじめとする各職能チームのマネジメントのほか、採用・採用広報も池内の管轄ということになっています。直近でいうとプロダクト事業戦略室を立ち上げそちらにも関わっています。

見ている範囲まぁまぁ広い問題

CEOが見ているところ以外全部ということで、最近とくにミーティングの数が増えたりなどし、「あれっ わたしの職責、広すぎ!?(古)」と思わなくもないのですが、CEOはファイナンスであったり、アライアンスであったり、セールスであったりと活動範囲が社外及ぶことが多く、その反面僕はできるだけ社内に張り付いて、即レス・即決・即実行 ができるよう心懸けています。

現行の体制になった歴史的経緯として、当社が創業当初は今とはことなる3つの事業からなる経営をしており(ブートストラップ戦略)、そのうちのひとつがプロダクトとしてのアウェアファイの事業だった、その担当を自分がしていたということもあります。

僕の役割としては、取締役・CTO・事業責任者の3つに大別できると考えており、それぞれの関心事を整理すると、次の図のようになります。

取締役・CTO・事業責任者としての関心事

それぞれの役割について、僕の考えていることを整理してみます。

取締役として

CxOの前に取締役

しばしば、「CTOとはなにか」という定義がなされることがあると思うのですが、自分としては、CTOやCxOの前に、取締役という職責がある と整理しています。そもそも、CxOという名称は会社法では定められていないただの肩書きであり、定められているのは代表取締役や取締役のほうです。取締役は経営に関する意志決定、戦略の策定、業務の監督など、それらにより事業を成長させることが主たる責務ですので、そうした責務を果たすことが最初にある、という考えです。

僕の関心範囲が広いと見られることがままあるのですが、自分としては上記の通り、経営に関わること(すなわちすべて)に関心を持つのはむしろ自然なことであると考えています。(できているとは言っていない)

CTOとして

そんなわけでCTOである前に取締役、という話をしたわけですが、同時にCTOであるということにやりがいも持っています。僕の整理では、どのようなフェーズであっても、「テクノロジーをドライバーに事業を飛躍的に成長させる」のがCTOの責務だと捉えています。

データ・プロダクト・事業を垂直に設計する

Notion に Everything in Notion is a "block" という設計および思想があります。僕は Notion のようなデータ構造とプロダクトの優位性、惹いては事業成長性が垂直統合された設計に美しさがあると感じており、常にそのような仕事がしたいなと考えています。

アウェアファイでは、それまで Firebase の Firestore が担っていたデータベースをPostgreSQLに移行する、という(当社比)大掛かりなプロジェクトを2022年に実行したのですが、そのときに社内で掲げていたのがNotionのBlock構造にインスパイアされた、Contextual Block = 文脈付けられたブロック というデータ構造、および構想でした。

僕の活動のうちでも細かすぎて伝わらないシリーズの筆頭のため詳細は割愛するのですが(データドリブンUIみたいな感じです…)、後に AIを活用したとある機能実装を加速するにあたってのドライバーとなり、現在進行形でプロダクトの成長を支えてくれています。

コードを書く

最近は開発メンバーが増え、成長もあり、僕がコードを書かなくてもプロダクトが改善していき嬉しい限りなのですが、それはそれとして、僕もコードを書いています。自分がいつまでコードを書くか、ということはCTOのひとつのジレンマだとも思いますが、技術的な意志決定を解像度高くするために、コードは書いていたほうが良いのではないかなと考えています。

開発のスピードを重視するあまり技術的負債を放置しやがて手に負えないコードベースになってしまう、、というスタートアップあるある問題ですが、それに対してはコードの品質をあげる、いい品質のコードを書くチームをつくる、ということしか処方箋はなく、そのためには自らが手を動かし自他に促していくことが大切なのかなと考えます。

事業責任者として

事業責任者とは、事業に責任を持つ者です。(←某節

PdMとの責任分担

おそらく僕の立場は、プロダクトオーナー(PO)のようなものだと思うのですが、プロダクトマネージャー(PdM)との責任の分担って難しいですよね。POが上位だったりPdMが上位だったり、組織によって体制はまちまちなのではないかと思います。

当社にも誇るべきPdMのあいりおだ(@anny_iiniku)がいるのですが、PdMとPOの役割の分担として、(僕の中では)次のように整理しています。

  • PO : 事業価値の最大化に責務を持つ

  • PdM : ユーザー価値の最大化に責務を持つ

事業責任者とPdMの責任分担

事業価値 ≠ ユーザー価値

事業価値 = ユーザー価値ではないのか、という点にはさまざまな意見があると思うのですが、いくらユーザー価値を生み出せていても、事業上の収支が成り立たなければ事業は存続できない、ということはひとつの真理だなと思っています。スタートアップにおいては、ファイナンスを念頭においた企業の評価額 = バリュエーションをどう適正に高めていくか、ということも関心事であり、そうしたものは実際、ユーザーの主たる関心事には含まれません。

誰の方を向いて仕事をするか、ということは重要な問いであり、当然のことならが僕もユーザーのほうを向いて仕事をしたいと心懸けていますが、1人の人間が "帽子を被り直す" よりも、PO/PdMで責務を分けるほうが内的なコンフリクトが生まれにくいのかな、と考えています。

もう一つのPOの役割としてProduct-Out、というと冗談に聞こえるかもしれませんが、ユーザーインサイトやマーケットイン起点ではない発想をどのようにプロダクトに持ち込むか、について向き合うというものがあると思っています。B2Cの事業はどこかでプロダクトアウトの発想を持ち込まないと事業が非線形に成長することはないと僕は考えています。昨今のAI技術の到来はそれをさらに加速させているようにも思えます。

ちなみに、プロダクトアウトでもなくユーザーインサイトでもない「マーケットイン」については、アウェアファイの場合、プロダクト・マーケティング・マネージャー(PMM)がこれを担っています。

事業価値・ユーザー価値を複数の観点から生みだす

※ 本論全体を通じてですが、POはプロダクトアウト的な思考をもつべき、という主張ではありません。プロダクトアウト/マーケットインの力点は、事業ドメインによっても大きくことなると考えられます。

最近の仕事

AI 構想

2023年からは一貫して生成AIの活用について関心を強くもって、「Awarefy AI構想」を推し進めています。

リブランディング

2023年9月から2024年5月にかけて、当社の大きなプロジェクトであったリブランディング・プロジェクトを行っていました。

ちなみにリブランディングにより「ファイさん」というめちゃめちゃ可愛いキャラクターが誕生したのでみんなで愛でてやってください。めちゃかわ。

AIメンタルパートナー ファイさん(Company Deckより)

リブランディングを行った今、「Awarefy AI」あらため「ファイさん」をどのように進化させていくか、ということが僕の関心事であり、事業構想と技術検証を行きつ戻りつ、夢を膨らませています。

おわりに

今回、「CTOで事業責任者とは何事なのか」という問いを起点に、僕が担っている各ロールとの向き合いかた、アウェアファイの現在の体制やコラボレーションの形について話を展開しました。

スタートアップのアーリーステージでは、どうしても一人で2役、3役を担うことも少なくないのではないかと思います。日々奮闘されているみなさまの参考になれば幸いですし、よりよい実践、よりよいプラクティスがあれば是非コメントなどなどをお寄せいただければと、思います。

(再掲)取締役・CTO・事業責任者としての関心事

先日、スマートバンクさんの「プロダクトディスカバリーチャンネル」にあいりおだ(@anny_iiniku)と出演させていただきました。ポッドキャストのトピックは AIをプロダクトに導入するにあたりどのようなディスカバリーをしたか、というものなのですが、その中でも、本記事で言及したような PO と PdM のコラボレーションについてお話ししています。

また、このたびアウェアファイで、プロダクトづくりにおける他職種コラボレーションをテーマとしたコミュニティイベント「プロダクト・スクランブル」を開催する運びとなりました。

開催日 : 2024年7月24日(水): 19時〜
会場 : 東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル 4F
※ 無料、オフライン限定イベントです

職種・職能横断で活躍されているかた、コラボレーションに取り組んでいるかた、悩んでいるかたと一人でも多く出会える場とできればと思っております。ぜひご参加ください。

このような Pitta(カジュアル面談)もございます。

以上です。

お読みいただいてありがとうございます。