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警察に届けられた落とし物から考える「セルフレジは誰のため?」

ある日、警察署から「カードの落とし物が届いている」と電話があった。拾得場所を聞くと「○○スーパー××店」という、私が2番手に利用しているスーパーだった。「ああ、いつかやるだろうとは思っていたが、意外と早くにやっちまったな…」という感想を抱きつつ、警察署へ向かった。

というのも、このスーパーは1年ほど前に店舗リニューアルを行い、8割方セルフレジとなった。セルフレジ自体は別にいいのだが、私が問題に感じているのはオペレーションだ。

1.ポイントカード(楽天ポイント)の提示を求められるので、財布からカードを取り出してスキャン
2.いったんカードを財布に入れ、財布をカバンにしまう
3.品物をスキャン
4.財布からクレジットカードを取り出してお会計
5.カードとレシートを財布に入れ、カバンにしまう

カードを出したり、入れたり、やたらと財布に触れなければならないのだ。こちとら急いでいたり、子どもを連れていたり、落ち着いて買い物ができるときばかりではない。警察署に届けられたのは、何か慌てて財布を取り扱ったときにカード入れ部分が下向きになり、落っことしてしまったものなのだろう。

ちなみに同店のセルフレジ、何ヵ月か前までは出口付近に店員が立っており、
6.レシートを提示し、謎のバーコードをスキャンしてもらう

というステップまで存在していた。重たい買い物袋を持って、所定の場所に片付けるべきカートとカゴも引きずりながら、レシートを提示する? 手が何本あっても足りない。何より、大事な財布は会計が終わった時点でしまってしまいたいのよ!! あまりに評判が悪かったのか、いつしかこのシステムはなくなっていた。

セルフレジがまだ珍しかった時代は、なんとなく早い気がしてセルフレジの列に並ぶことも多かった。しかし、私は(いまさら)気づいてしまった。会計部分がいくら自動化されていても、セルフレジは「スキャン+袋詰め」までの時間が一人ひとりに必要なのだ…!以来、セルフレジと人力が半々であれば、人力のほうに並ぶようにしている。

冒頭の使い勝手の悪すぎるオペレーションしかり、セルフレジは「お店のため」のものでしかないのだろう。けっして「お客さまが便利になるため」ではなく、「レジの人手を減らすため」。前述の6(最後にレシートをスキャン)なんて、店的には何かを管理していたのだろうけど、客には全く関係ない。結局、なくしても問題のないステップだったようだし。

主婦になって休日、あるいは夕刻以降以外の時間に買い物をするようになって驚いたのが、特売やタイムセールを楽しみに、開店時間にスーパーにやってくるお年寄りの多さだ。しかし、この店はセルフレジの全面導入以降、朝の時間帯に見かけるお年寄りの数が心なしか少なくなった気がする。店側の利便性を追求するあまり、顧客を失ってしまったのだ。

その点、テレビでたまたま見たこのシステムは顧客目線でいいな。

カートに品物を乗せる際にバーコードをスキャン。カートのモニターにはその時点での会計金額が表示され、レジでは並ばずにプリペイドカードで即決済が可能。(いつもぎりぎりのストレージでやりくりしている私にとって)専用アプリなどのダウンロードが求められないのもいい。

プリペイドカードってのも、お年寄りとかにやさしい感じがする。モニターにはクーポンなども表示されるらしい。ついつい不要なものまで買ってしまいそうだが、それもまた楽しい買い物体験になりそう。テレビで取材を受けていた人たちも、「便利」「楽しい」と笑顔だった。

近所にまだ導入店舗はなさそうで残念。お店にもお客にもありがたいこうしたシステムが、もっと普及してくれたらいいのに…と思いながら、今日もカードを落っことさないように注意しながら買い物をするのである。


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