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10月9日のひとりごと

ーまえがきー
 付き合って5年が過ぎた頃、彼が宗教2世であることを突然告げられた。驚いたけれど、それでも一緒に乗り越えられると思った。彼も私も、お互いを大切に思っていた。けれど、それだけではどうにもならなかった。結局、私たちは別れを選んだ。

 あれから2年が経ち、今も彼を思い出すことがある。別れたことを後悔しているわけではない。ただ、気持ちは変わらず残っている。

 ああ。彼のこと、ずっと考えないようにしていたのに。考えないというより、もう彼の存在そのものが、私の人生から消えたはずだったのに。
 ずっと鎖で繋いでいた感情が、急に解き放たれたように、彼のことを思い出した。今の私は彼のことで頭がいっぱいだ。朝起きてから一番に思い浮かぶのも、夜寝る前に考えるのも、彼のことだ。

 ふと、彼のLINEのアイコンを見た。両手にパンを持ち、ベンチに腰掛けている。オーバー過ぎない白Tにサングラス、程よく光るアクセサリー。
 ふーん。なんかスリムになったね。そんなサイズ感の服好きだったっけ?
…で、隣にいるのは誰なんだろう?知りもしない誰かに嫉妬してしまった。

―貴方へ―

…隣にいるのは、どんな人ですか? 貴方を笑顔にできる人ですか?
隣にいるのが私でないとしても、貴方が幸せでいられるなら、それでいい…と言えるほど、私は人間ができていなくて、どうしようもない感情が込み上げてきます。
でも、独りじゃないなら、それはきっと喜ばしいことだと思っています。もう一つ言うなら、心が、独りぼっちじゃないといいなって思っています。

元気でいてほしい。笑っていてほしい。会いたいです。とても会いたいです。
私は寂しいし、今でも諦められずにいるのだと思います。仕事に打ち込むことでしか、自分を保てないのだと思います。
貴方以上の人に出会える自信もありません。

貴方と、貴方の隣にいる人が、私のこれからの人生に関わらないとしても、今の私にとっては、無視しようとしてもできないくらい、ずしんと重く、深く沈み込んで、私の中にい続けます。

どうかずっと元気でいて。幸せでいて。貴方をいろんなことから守ってくれる人と出会って。
その時は心から喜べるように、私も努力するから。

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