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Hang Tough
アラン・トゥーサンの曲の中には、聞き手を鼓舞し元気づけるものがいくつかあります。
かの「Yes We Can」がその代表ですが、今日紹介する「Hang Tough」もその一つですが、これまた、いつもの通りマイナー曲です。
1994年にリリースされた“クレセント・シティ・ゴールド”というニューオリンズR&B界の偉大なミュージシャンたちによるドリーム・チームの企画もの「The Ultimate Session」に収録されています。
ロックンロールのビートを作ったドラマー、アール・パーマーを筆頭に、50年代初めからアルヴィン・レッド・タイラー、リー・アレンという二人のサックスプレイヤー、ピアニストのエドワード・フランクという錚々たる面々に、それより一回り下の若手wとしてアラン・トゥーサンとマック・レベナックが加わっています。敢えてドクター・ジョンの名前を使わず、セッション・ミュージシャンだったころのマック・レベナックをクレジットしているところも泣けます。
この時点でアール・パーマーは70歳、タイラーは69歳、アレンが67歳、エドワード・フランクが62歳です。
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パーマーの小気味よいバックビートから、タイラー、アレンのリフに乗って始まります。レジェンドたちにこんな演奏をされたら、元気が出ないわけがありません。
当時まだ50代の若手アランとマックが一節ずつ歌ってます。
時には名人だってミスることがある
だから、そんなに自分を責めないで
時には最高の選手でさえ負けることがある
それが物語の流れなんだ
時には高値が下がることもある
それがゲームの本質なんだ
上り坂だってやがて下ることもある
栄光の道にたどり着くまで
がんばろう、諦めずに
がんばろう、諦めずに
時には専門家だって見逃すこともある
でも采配を振るわなきゃならない
ここぞの時に何もかもが足りない
雨が降ればどしゃ降りになる
時にはチャンピオンだって倒れる
倒れたってバラバラになる訳ではない
どんなに雲が暗くても
あなたの心は暗闇ではない
がんばろう、諦めずに
がんばろう、諦めずに
頑張ればなんとなる、という漠然とした応援ではなく、具体的にこんな失敗しちゃっても、そんな不幸に見舞われても、諦めるなとアラン・トゥーサンらしい詞です。
マイナー曲ながら、カバーあります。
ワイルド・マグノリアスの「Life is a Carnival」に収録されてます。
アレンジ、プロデュースはワーデル・ケザークで、アラン・トゥーサンがゲストとしてピアノで参加し、ボー・ドリスとマーヴァ・ライトが交互に歌っています。