カープダイアリー第8265話「横浜スタジアム第3ラウンド、コルニエル”マット”に沈んでワースト13失点」(2023年5月18日)
初戦でバウアーを血祭にした代償は大きかった。横浜の夜空に2日連続でヒーローたちの声が元気に響いた。
「野手のみなさんがたくさん点を取ってくれたので、ひとりひとり丁寧に、心に余裕を持って投げることができました」(8回3失点で4勝目の東)
「ここ最近、情けない打席が続いていたので、自分を信じて振り抜きました」(二回の8号2ランを含む5打点のキャプテン佐野)
「ほんと、みなさんの声援で僕たちも勇気づけられています。ほんと勢いに乗っていけるので、これからも熱い熱いご声援、よろしくお願いします!」(5安打2打点の桑原)
試合後のインタビューでは三浦監督もさすがに前向きなコメントが目立った。6連敗からの2連勝。
「みんな、ほんと波に乗ってベンチの雰囲気も最高な状態で攻撃できたと思います」
そう、前夜の第2ラウンド八回に九里が牧、ソトに連続ホームランを浴びたことで赤、青両コーナーの勢いが真逆になった。せっかく第1ラウンド早々にバウアーをKOしたのに、だ。
そうなるともう相手の手数を止めることはできない。新井カープとしてはワーストの17被安打、13失点。返した3点がよけいにむなしさを増す結果になった。
きっかけは二回のスクイズだった。
一死一、三塁打席には八番山本という場面で牽制も何もなしに初球を投じて“ミスミス”先制された。コルニエル、磯村というバッテリーだから磯村がいろいろ気を回す必要がある。DeNAベンチは“そこ”を突いてきた。
ショックは尾を引いて東に四球を与えたあと、佐野には真っすぐを2球、初球空振りのあとバックスクリーン右に運ばれた。これもミス。勝負を焦っては勝ち目がない。なんせ、相手は前夜八回の逆転劇の際、先頭打者で四球を選ぶと吠えている。連敗中の悔しさと怒りが凝縮されているから死に野狂いで捉えに来る。
三回にも先頭ソトの四球から失点したコルニエルは六回、当分立ち慣れないような悲劇の主役になった。
その佐野に右前打され、続く関根の一ゴロが内野安打となり、宮崎死球で無死満塁から前夜のヒーロー牧に2点適時打され、さらにソト死球と桑原2点打によって一死も奪えずKOされた。
救援した塹江も2四球2安打で火に油。5度の満塁機に着々と加点したDeNAの攻撃は44分も続いた。緒方監督の時代以降にこのグラウンドで何度も目にしてきた光景だった。
マットに沈んだ敵の上にのしかかり、情け無用の連続パンチ。それは新井監督が現役時代のマツダスタジアムでも日常的な出来事だった。宮崎、佐野、ソトらはそれを手本として、本拠地に取り入れたことになる。
マツダスタジアムビジターパフォーマンスからベイスターズファンを締めだしたことで生じた“ビジパフォの呪い”とはそういうものだ。
ハマの番長とはよく言ったもので地元13勝4敗はベイスターズファンにとっては何よりのプレゼントだろう。
この日、広島市中心部のホテルでは岸田首相とバイデン大統領による日米首脳会談が午後6時のプレーボールとほぼ同時刻から始まった。あすから始まるG7広島サミットの影響で2週間の遠征に出た新井カープは前半5勝1敗のあと後半はこれで1勝2敗と失速気味だ。
あす乗り込む甲子園には7連勝で貯金10の首位阪神が待ち受ける。ゲーム差4・5は「優勝争い」を口にするなら危険水域の一歩手前。しかもあす初戦先発予定だった大瀬良が右肘の痛みを訴え代役は二軍再調整だった玉村。DeNA打線を7回3点に抑えた床田も前日抹消され、頼みの九里もDeNA打線につかまったばかり。
先発ローテが思うように回らなくなりつつある中では打線に期待したいところだが、この日とうとうマットがスタメンを外された。同時に「1500安打」の秋山がこの2日間で6打数1安打4三振に終わり打率の急降下…明るい材料が少ない状況となっている。
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