カープダイアリー第8421話「新井監督、第2のバティスタ探し不発?ならば手本とするのはナカジマジックか…」(2023年10月30日)
見上げる空は雲ひとつない秋晴れ。クライマックス・シリーズ、ファイナルステージ終了から中9日。午前10時、マツダスタジアムで若手らの全体練習が始まった。
メンバーは投手が森翔平とアドゥワ、野手が曽根、坂倉、磯村、小園、末包、大盛。そしてドミニカアカデミーから来日したモイセス・ラミレス(21)、ジェイリーソン・バスケス(23)、ネルソン・ロベルト(23)。
ダッシュで始まったアップはおよそ1時間で終了。その後は3カ所に分かれてノックが行われた。
メディアの注目を集めたのが坂倉と小園。11月のアジアプロ野球チャンピオンシップ、侍ジャパンでの活躍が期待される。11月6日に宮崎市内で始まる代表合宿まで残り6日…
「しっかり動けたので、まずはそれが良かったかなと思います。選んでもらえたことで良しではないので、ここから合流までしっかり調整していきたい。やるからには勝ちたいし、僕も含めて全員若いので、みんなで協力して優勝目指してがんばりたいと思います」(坂倉)
軽めの昼食を挟み昼過ぎからは打撃練習へ。
新井監督が特に目を光らせたのがアカデミー組、右打者3人のフリー打撃だった。一、二塁間に陣取って、3人が高低や内外のボールに対してどんな反応でどんな打球を飛ばすかををチェックした。
だが、まともな当たりは数えるほど。191センチ、120キロの巨体を誇るモイセス・ラミレスですら外野低位置やや後ろ程度の放物線しか描けなかった。
その傾向は最後に行われたロングティでさらに顕著になった。
飛距離こそが問われる中で、3人は末包の放つ放物線の高さ、距離に太刀打ちできなかった。一軍戦力にはほど遠い?「まだ初日だから」という声もあるが、どこまで”一軍半”の末包レベルに迫ることができるか…
練習には球団本部編成部の比嘉課長も立ち合い、その様子を見守った。比嘉課長の心の中の声をメディアが紹介することはないが、おそらく「こりゃ、厳しい…」が本音だろう。
2017年から19年にかけて緒方監督の下での3シーズンで計62発145打点を叩き出したスチュアート・バティスタの再来となれば、日本一を目指す新井監督にとっては大きなアドバンテージになる。しかし、そんなおいしい話が都合よく転がっているとも思えない。
2年連続で開幕四番を務めたライアンは”賞味期限“切れとなり、CSでの出番が限定されたマットもここ一番では使えないことが分かった。
新井監督は、広島帰還を果たした2015年シーズン途中から四番を打ち、リーグ連覇を目指した2017年も開幕四番だった。
そして開幕から20試合を過ぎたところで鈴木誠也にあらゆる心得を叩き込み四番を禅譲した。若き不動の四番の誕生だ。そこにバティスタも加わり一発と連打攻勢で相手ベンチを完膚なきまでに叩く強力な打線が完成した。
新井監督は再度、 SEIYA SUZUKI に成功した真なるスラッガーのような、かつての自分自身のような右の大砲を育てる責務を負っているし、それが自分の役目だと認識している。
だが、現有戦力と先のドラフトで指名した入団候補者の中から、ダイアモンドの原石を探し当てるのは極めて困難な状況だ。もしも龍馬が抜けるようなことがあれば「ナカジマジック」を手本としつつ、変化自在で打線で日本一に挑むことになるだろう。