カープダイアリー第8431話「侍ジャパン幕開けはセカンド小園、ゴールデン・グラブ菊池は11年連続ならず」(2023年11月10日)

マツダスタジアムには番記者らが張り付いている。いつ龍馬がその決断を球団側に伝えるか分からないからだ。

しかし“兆候”は事前に察知できる。放送局のカメラクルーは急には出動できない。予め各局に連絡が入る。ただ、コロナ禍を経て代表カメラ取材(1局が撮影して各局にも配る)も増えた。

この日も龍馬がマツダスタジアムに姿を見せたが結論は週明けに先送りされた。

大瀬良もマツダスタジアムにやってきた。右肘の骨膜切除に踏み切ったのは10月27日。前日9日に群馬県内の病院で抜糸して患部の状態をチェックした。

球団側にその現状を伝え、ゆっくりとリハビリを進めていき、まずは普通の人のように動けるところまで持っていく必要がある。右肘手術は今回が3回目だから、慎重さが要求されるのは言うまでもない。

宮崎市の清武総合運動公園内にあるSOKKENスタジアムでは、こうしたマツダスタジアムの状況とはまったく別世界の“戦い”が始まった。

侍ジャパン宮崎強化合宿は休日明けの4日目を迎えて、巨人との練習試合におよそ4000人のファンが集まった。午後1時開始の試合の模様は日テレNEWS24で放送され、侍ジャパン公式YouTubeチャンネルとJ SPORTS オンデマンド、ABEMA、GIANTS TVで配信された。

侍ジャパンのスタメンは…

レフト藤原恭大(ロッテ)
センター岡林勇希(中日)
セカンド小園海斗(広島)
DH牧秀悟(DeNA)
ファースト秋広優人(巨人)
ライト万波中正(日本ハム)
キャッチャー坂倉将吾(広島)
ショート門脇誠(巨人)
サード野村祐希(日本ハム)

小園-坂倉のセンターラインが井端ジャパンの“中心”であることがスタートの時点ではっきりした。メンバーは24歳以下、または入団3年目までが基本でオーバーエージ枠(29歳以下)は3人まで。坂倉は25歳。野手ではただひとりのオーバーエージ枠だ。

ジャパンの扇の要は五回までマスクをかぶり、赤星優志(巨人)と隅田知一郎(西武)をリード。失点は適時打による赤星優志の1だった。

小園は初回の打席で1年目の松井颯(育成ドラフト1位から支配下登録)の初球真っすぐをライト前に弾き返した。守っても初回から4・6・3ゲッツーを決めた。

プロ野球ファンにとっては、目の離せないイベントが続く。

午後5時にはプロ野球記者らによる投票で決まる第52回三井ゴールデン・グラブ賞の発表があった。


セ・リーグ
投手 東克樹(DeNA)126票・初受賞
4位・床田寛樹(広島)27票
6位・九里亜蓮(広島)10票
12位・島内颯太郎(広島)1票

捕手 坂本誠志郎(阪神)117票・初受賞
4位・坂倉将吾(広島)9票

一塁手 大山悠輔(阪神)212票・初受賞

二塁手 中野拓夢(阪神)110票・初受賞
2位・菊池涼介(広島)107票

三塁手 宮崎敏郎(DeNA)145票・5年ぶり2回目
5位・マット・デビッドソン2票

遊撃手 木浪聖也(阪神)157票・初受賞
4位・矢野雅哉(広島)9票

外野手 近本光司(阪神)267票・3年連続3回目
岡林勇希(中日)196票・2年連続2回目
桑原将志(DeNA)87票・6年ぶり2回目
4位・秋山翔吾(広島)83票
7位・西川龍馬37票
10位・野間峻祥(広島)11票

セ・リーグ投票権保有者数302、有効投票者数299
投手は投球回143以上または試合数47以上が対象、野手は試合数71以上が対象

パ・リーグ
投手 山本由伸(オリックス)3年連続3回目
捕手 若月健矢(オリックス)初受賞
一塁手 中村晃(ソフトバンク)4回連続4回目
二塁手 中村奨吾(ロッテ)2年ぶり2回目
三塁手 宗佑磨(オリックス)3年連続3回目
遊撃手 源田壮亮(西武)6年連続6回目
外野手 辰己涼介(楽天)3年連続3回目
万波中正(日本ハム)初受賞
近藤健介(ソフトバンク)初受賞

パ・リーグ投票権保有者数264、有効投票者数263
対象選手条件はセと同様

小園がジャパンのユニホームを着て躍動する一方で、菊池はセ・リーグ記録を更新する11年連続受賞、11回受賞をわずか3票差で逃した。秋山も4票差で選から漏れた。
打線を固定して日本一になった阪神勢は5人。近本を除く4人は初受賞だった。143試合で135パターンの打線を組んだオリックスでも3人の受賞者が出た。

カープナインからの無選出は16年ぶり。

新井監督は“そういうメンバー”を一手に引き受け、来季もう一度「日本一」を目指すことになる。最悪の場合には大瀬良の今季の投球回129回と2/3や、龍馬のチーム最多となった今季127安打を欠くことになっても、だ。

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