安楽楽天パワハラ告発記事から6日で謝罪と自由契約、もうすぐクリスマスなのに…(2023年11月30日)

今オフ、選手会長のバトンを堂林に渡した大瀬良が現状維持の1億8000万円で更改した(金額は推定、以下同)。

秋山も現状維持の1億5000万円でサイン。小園は1400万円アップの5400万円となり納得顔で会見に応じた。

新井監督が「家族」と言い続けてきたこの”集団“では考えられないようなことが、楽天では長きに渡って続いていたようだ。

ただ、これは単一球団の問題ではないだろう。NPB全体で取り組むべき重要なテーマ。おそらくはその氷山の一角が露呈した。

11月25日未明のネットニュースやその日のスポーツ紙などに踊った見出しは「安楽パワハラ」だった。

その時点で様々な悪行が暴露された。

・ZOZOマリンスタジアムのロッカールームで逆立ちを命じられた後輩選手はパンツまで逃がされて陰部に靴下をかぶせて笑いものにした

・食事などの誘いを断ると人格否定する言葉を浴びせた

・罰金として金銭要求した

…ほかにも具体的な証言が、今オフの契約更改の席上でなされたのだという。

世も末、とはこのことだ。

名前消滅のジャニーズ事務所や法令そっちのけで暴利を貪ったビッグモーター、大切な命を奪ったうえにパワハラをなかったものにしようとした宝塚歌劇団。

楽天とは人生を楽観視すること。宝塚のようにそのイメージ、その呼称に隠れてしまいがちなところで、とんでもないことが繰り返されていたという事実。

そこには“見て見ぬ振り”があったことはほぼ確実であり、人の痛みを自分のこととして受け止めるこの出来ない風潮が、今のこの日本にはまん延していることになる。

この日、球団弁護士同席の下で会見に応じた楽天の森井誠之球団社長はこの件について“全面降伏”したようで、限られた時間内で確認できた事実に基づき、テレビカメラの前ではっきり詫びて対策も口にした。

「このような事態になりましたことを、たいへん深くお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした」

「アンケート結果等、本人へのヒアリングも照らし合わせた上で、専門家の意見もいただきながら、調査確認を慎重に進めて参りました。その結果、これまで報道が成されていた事象について、安楽選手に関してほぼ事実ということが判明いたしました」

「ロッカールームでの出来事についてもおおむね事実であったと(確認しました)」

「(安楽との直接の面談で)冒頭は本人の謝罪から入りました。自分としては、とにかく謝罪したいと…社長も含めて皆様にご迷惑をおかけしました、その上で被害を与えてしまった選手たちに直接謝罪をしたいというのを何度も申しあげていました」

「球団としては見過ごすことのできない重大な事象と捉え、本日、提出期限であります保留選手名簿への記載をしないという結論に至りました」

安楽は愛媛県の済美高エースとしてセンバツ準優勝。2014年ドラフト1位で楽天入りして、2020年から救援に転校した。2021年から今季まで3年連続で50試合登板をクリアした剛腕。

しかし済美高時代にも3年時に部内のいじめ事件で1年間の対外試合禁止処分となった。主将は安楽。1年生にカメムシを食べさせようとするなど、正に下劣な行為の数々は今回の逆立ち靴下の刑と同レベル、だろう。

安楽はSNSを駆使して片っ端からタイプの女性などにモーションをかけていた、形跡もうかがえる。そんな暴走を球団もチームも止めることができず、とうとう勇気を出した被害者からの告発、要するにジャニーズ事務所やビッグモーターや宝塚歌劇団といっしょの流れになってしまった。

片っ端から女性に声をかける、というプロ野球選手らしからぬ行為からどうしても抜け出せない選手はカープにもいる。

中村奨成。

フェニックス・リーグ途中からファンの目の届かない存在になり、秋季キャンプにも参加しなかったのに推定でわずか100万円の減俸で契約を更新して22→96の背番号変更も発表された。

こちらはあれだけ“週刊誌ネタ”にされたのに、球団側はまるで何もなかったかのように振舞っている。

そういう意味では、楽天球団に忖度せず、安楽のパワハラを記事にした各メディアはまだ全うな道にいる。

中村奨成の契約更改と背番号変更記事では、どの社も1行たりとも女性トラブルで違約金を支払ったことなどには触れていない。さすがはカープ村。取り返しがつかなった時のみ、初めて驚くような事実が明らかにされる。

近いところでは2019年7月25日発売の週刊新潮が告発した「11連敗の陰に秘された事件 怠慢選手に“嵐の掌底”連打!広島緒方監督の鉄拳制裁は是か非か」の記事。
 
カープ球団がその事実を公表したのは、7月24日のナイトゲームのあと。暴力事件があった6月30日からおよそ1カ月。安楽の件は決して他人事では、ない。

12月第3週には恒例のカープ入団会見がイルミネーション輝くの広島市内で開催される。

プロの舞台とは本来夢を追いかけ夢をファンに与えるもの。靴下の使い方もわからぬのならクリスマスツリーに灯りがともるころ、まっとうな道を歩むための旅を始めるしかない。

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