カープダイアリー第8428話「日曜日の清武は井端弘和監督の小園海斗vs新井貴浩監督の内田湘大」(2023年11月7日)
日南市北端と接し、宮崎市の南東部に位置する清武町、かつての清武市。2010年に宮崎市に編入合併されベッドタウン化が進む。
大自然に囲まれた清武総合運動公園はオリックスのキャンプ地として野球ファンにも愛されている。山口・由宇練習場と“空気の美味しさ”ではどっこい、どっこい…
アクセス道もよく整備され、場内の導線も各施設の充実度も群を抜く。中堅122メートル、両翼100メートルのSOKKENスタジアム、屋根に覆われた投球練習場、広々とした第2グラウンド…侍ジャパンのグッズショップや飲食ブースもある。多少の高低差を我慢すれば、効率よく各施設を見て回ることができる。
そんな申し分ない環境、申し分ない気候の下、侍ジャパンの合宿が前日6日から始まった。24歳以下か入団3年目以内の選手を中心に選ばれたはメンバーは16日から東京ドームで始まるカーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップに備える。
初日から1500人以上の見学者が集まり、宮崎県の河野俊嗣知事と宮崎市の清山知憲市長も訪れて宮崎牛30キロなど特産品が贈られた。
キャンプ2日目のこの日は、日本シリーズ終了後にケガのため代表を辞退した紅林弘太郎(オリックス)に代わって選出された野村祐希(日本ハム)が合流した。
全体練習後には井端弘和監督が“始動”した。小園と門脇誠(巨人)が志願した特守に“ここぞとばかり”に参戦!遊撃でノックを受けるふたりに、自らグラブをはめてその手本を示し、1時間以上も“講義”した。
小園は5年目、23歳。今季は80試合306打席83安打6本塁打31打点、打率・286、9失策だった。
ルーキーイヤーで126試合に出場した門脇誠は来年1月で23歳だから小園と同学年。同じく83安打で打率・263。348打席3本塁打21打点5失策だった。
井端弘和監督は、ふたりを競わせショートとセカンドで交互に起用しながら将来のジャパンの二遊間を固めたい、という方針で臨んでいる。
3月のWBCでは源田壮亮(西武)が世界一に貢献した。“ポスト源田壮亮”。7度のゴールデングラブ賞に輝いた井端弘和監督の目は確かで、その期待に応えない手はない。
清武総合運動公園から車で1時間以内。海岸線を南下するより県内を東西に走る宮崎自動車道を使った方が日南市には早くつく。3月には東九州自動車道の清武南-日南北郷間、17・8キロも開通して、すでに北郷と日南市中心部を結んでした無料区間と繋がった。
12日、日曜日にはSOKKENスタジアムで侍ジャパンとカープ若手の練習試合が予定されている。
おそらくその注目すべき対戦でスタメンサードに指名されるのは内田だろう。
内田は悪戦苦闘のうちにルーキーイヤーを終えた。「結果は気にせず、しっかり自分のスイングをしたい」と大きな志で挑んだものの、ウエスタン・リーグの打撃成績は散々で、最終的には87試合259打席40安打、打率・163。本塁打はゼロ。フェニックス・リーグでやっと柵越え1本、だった。
259打席は二俣の405打席、林の343打席に次ぐ。経験第一、というのが首脳陣の一致した見解だ。
その内田には新井監督の“メス”が入った。といっても難しいことを強いるような話ではない。打撃の基本は「軸回転」。その考え方や構え方などは、ファウルゾーンに設置されたゲージでの打撃練習の際に伝授された。
高校通算36発、2月の日南キャンプでも若手の中では豪快なロングティを披露していたスラッガー候補が実戦でさっぱりだったのはなぜか?
マシンと内田を結ぶラインの真後ろから見守った指揮官の声が飛ぶ。
「詰まってもいい、詰まってもいい、くらいのつもりで…」
その答えの一端を内田が理解し始めたとしたらしめたもの。若き侍ジャパンとのガチンコ勝負で、小園と門脇誠が守る二遊間を破ることができるだろうか…