カープダイアリー第8227話「マツダスタジアム3日連続トリプルお立ち台は田中広輔、ライアンと”福”呼び込む玉村もうすぐ22歳…」(2023年4月9日)
開幕4連敗の時には赤い “新加工”ユニホームが重そうだった。神宮球場一塁側ベンチのみんなには、硬さが見えた。しかし雨のマツダスタジアムで連敗を止めてからは勝率5割一直線!新井カープの何たるかが、少しわかったような4日間になった。
「(先発の玉村は)ホームランを打たれたあともすぐにストライク先行で、どんどん攻めていってナイスピッチングだったと思う」
「(栗林は巨人戦で)3連投ということだったんですけど、事前に彼と話をして行きたいということだったので…、きのうは12球だったですかね?きのう20球、30球投げているようだと、こちらの方から止めていますけどね」
「(打線は)よくがんばってくれたと思いますね。マットは本当に力ありますね、逆方向へしっかりとね。ボールを潰しているので彼のパワーならどこでも入ると思います。コースケはナイスホームランでしたね。2シーズンぶりですか?いやぁナイスホームランですね」
「ほんとにこの4連勝は選手たち、がんばってくれたと思います。またあした休んでしっかり備えたいと思います」
以上、試合後の新井監督。
マツダスタジアム500勝かつ新井監督1勝目のあとはマット、遠藤、秋山が会見ルームで中継カメラの前に立った。指揮官も一緒だった。
2勝目は冷え込むナイトゲーム後の本拠地今季初のお立ち台。巨人3連戦で先手を取ることができたという中にあって大瀬良、堂林はいつも通りの“優等生”コメント。マットは少々緊張気味だった。
3勝目はデーゲームで床田、戸根、そして連日となるマットのスリーショットになった。
そしてきょう、春の陽射しを浴びながらチームの勝利に存分に貢献してお立ち台で大きな、大きな拍手を浴びたのは、玉村を中心に左にライアン、右に田中広輔だった。
最初にマイクを向けられた玉村は、出身地福井の名の由来となっている「福の居る」ボール、略称「福居ボール」(別名ふくふくボール)が主武器だ。
球速はさほどないが、胸を張り、左腕を打者の視界から消してしまう。出所の見えづらいリリースポイントからのスライダー、チェンジアップで右打者、左打者とも空振りを取れる。
初回、先頭のオコエに左翼席へ低い弾道で持っていかれた。しかも第1投の真っ直ぐを、だ。それでも指揮官の言葉通り、攻めの投球を続けて初回14球。三番梶谷も四番岡本和も初球は空振りだった。
その姿勢を貫いたおかげで、七回二死まで投げることができた。開幕直線に最後の一枚として開幕ローテに滑り込み、2試合目で勝利投手!
「初回に失点してしまったんですけど、チームにはいい流れができていたので、援護はすぐに来ると思って僕は負けないようにがんばりました。切り替えて、なんとかならんかなぁーと思ってなげました。(勝ち星は)なんとかなりました!」
ライアンはそんな高卒4年目左腕のピッチングを「グレートジョブ」を2度繰り返して褒めたたえた。「守っていてもテンポ良く投げるから守りやすいし、攻撃につながる流れを作ってくれていた」
自分への質問よりそっちの方が多弁だった。31歳のバースデーに決勝犠飛(三回)を放ったことを聞かれると「このロケーションで打てて嬉しい、1歳年とったけどね」と苦笑い?だった。
34歳のシーズンとなった田中広輔はお立ち台の上で表情を作るのに苦労しているように見えた。昨季、この雰囲気には縁がなかった。新たなチーム作りが進む中、中堅以上は若手から追われる身になる。その中で監督、コーチ陣とのコミュニケーションを密にして2月1日のキャンプインからコツコツと自身を作り変えてきた。
出番がある、のは幸せなことだ。今季3度目のスタメン出場で3度目の正直、2対1で迎えた四回、まずはマットが2試合連発となる4号ソロをライトスタンドへ。田中広輔も続いた。巨人先発、赤星の初球をうまく振り切って「よっしゃー」と声が出た。
きれいな放物線がまたライトスタンドへ届いた。
「本当に嬉しくて、なんか懐かしいような感じがします。1球目から積極的にという気持ちで入りました。手ごたえはすごく良かったんですけど、案外ぎりぎりだったんでびっくりしました!正直、もう打てるかなと思ってたんですけど、ファンのみなさまの声援がすごく力になっています。ありがとうございました」
連日のお立ち台トークを聞いていると、気づくこともいろいろある。
例えばどの選手も変にかっこうをつけたりしない。素直にファンに向けて自分たちの思いを語っている。無理して作る必要はない。それはプレーにも共通する。玉村のようなキャラはなおさらそうだ。
そこもまた新井流?どんどん選手が新井色に染まってきていないか?
お立ち台の締めはどうしても「ファンへのひと言」で終わることになる。田中広輔のあと真ん中の玉村が飛ばされてライアン。この時、玉村がいたずらっぽい顔になった。そして巨人3タテ、4対1快勝ゲームの最後に次回登板(神宮球場、ヤクルト戦)へ向けこう言ってのけたのである。
「きょうはマックの誕生日なんですけど、次の4月16日はボクと秋山さんの誕生日なんで…(スタンドから大歓声)、あとの残り21歳を楽しんでがんばります。次も来てくださーい!」
※この記事内で選手などの呼称は独自のものとなっています。