カープダイアリー第8383話「143試合、ラスト6試合で「2位死守」のための痺れるようなステージに立てるのは幸せなこと」(2023年9月22日)
グラウンドレベルの気温がまた30度超えの夏日になる前に、マツダスタジアムで全体練習が始まった。あすの今季ビジター最終となる巨人戦に備えての移動前だから内容はやや軽め。それでも打撃練習では主力組が快音を響かせ、ノックでは元気な声が飛び交った。
残り6試合となり2位確保へ有利な立場にあることは変わらない。しかしここからは1試合の勝ち負けの重さがまるで違ってくる。バラエティスポーツ番組でよくある「ここからは点数が10倍ゲーム」みたいなものだ。
現実を直視するなら新井監督のレギュラーシーズンフィニッシュ予想は3勝3敗。9月は6勝11敗でも本拠地では4勝4敗だからだ。勝率・646のホームゲームにあっても、現状では五分五分…
背後に1差でつけるDeNAが残り9試合5勝4敗なら勝率5割で上回ることができる。4位の巨人は残り9戦全勝でも2位には届かない計算だ。
また巨人はDeNAが5勝4敗なら全勝でもAクラスに届かない。だからあす死に物狂いで来ることになる。
練習前には再合流した菊池と秋山がチームメイトに迎えられ、フリー打撃やノックなどをこなして復調ぶりをアピールした。二軍戦3試合で攻守走の動きを確認した上本も東京ドームで合流する。
9月の負け試合11のうち7点取ったケースが一度あるものの、あとの10試合は3点以下。打線の反発力が落ちているから「2位死守」(藤井ヘッド)を目指す首脳陣は復帰した3人を最大限に活用できる策を講じることになる。
だが、そうであっても打線のカギを握るのは小園、あるいは堂林だろう。
復帰組が打つかどうか?はやってみないと分からないが小園の9月月間打率は・380で出塁率も・397。得点圏打率は・500。
四球を選ぶことは稀でほとんど打って塁に出るから、その前に走者を置くのが得点への近道になる。右投手より左投手の対戦打率が高いのも強みだ。
堂林は8月の月間打率・371からは下降傾向にあるもののそれでも3割台をキープして2本塁打もマークしている。龍馬が戻ってくるまでは堂林を四番に据えるのか、それともまた「四番上本」などの勝負手を打つのか。いずれにせよ1試合平均5点を奪えるようにしておかないとクライマックス・シリーズからの下剋上もうまくいかないだろう。
午後6時プレーボールの横浜スタジアムは雨脚が強まった午後7時21分に中断となり、雨雲の動きを注視しつつけっきょく午後8時4分に降雨ノーゲームが宣告された。
延々と待たされるファンや関係者は“繋ぎ”が大変だ。ラジオブースでは日本放送の実況アナと解説者が「雨音がここまで聞こえてきますねぇ」「試合時間より中断時間の方が長くなっています…」とネタ切れ寸前になっていた。
その間、青い雨具のベイスターズファンはスタンドに陣取りずっと試合再開を待ちわびていた。
ただ、中日が三回に1点先制したのちノーゲームだったから前向きに受け止めたかもしれない。
この日の代替試合は10月1日に組まれた。DeNAはあすからも本拠地に腰を据えて9月末までに6連戦を消化する。
2位の座を掴みとるための正にラストスパートは互いに勝率の高いホームゲームでいくつ白星を積み重ねるか?という勝負になった。
開幕前には散々「最下位予想」され、何も見えなかったはずなのに、143試合の長丁場の大詰めに痺れるようなステージが待っている。それはファンにとっても、当事者らにとっても幸せなこと、である。