カープダイアリー第8266話「甲子園、108球目サヨナラ負けから学ぶ」(2023年5月20日)

午後2時開始のデーゲーム。甲子園のマウンドで5月の陽射しを浴びる森下の投球フォームに力感が戻ってきた。投げ合ってきた大竹は七回で降板。そしてスコアボードにはゼロが17個並んでいた。

球数102、4安打1四球で来て九回もツーアウトランナーなし。

しかし四番大山に右中間二塁打を許して苦しくなった。アウトコースのカーブで空振りを取ったあとの2球目、149キロがアウトハイに浮いたところを捉えられた。

公式発表4万2598人のスタンドが騒然とする中、五番佐藤輝明には3ボールにして申告敬遠…

前日先発した玉村は低目の真っ直ぐをバックスクリーン右に運ばれた。曾澤のミットはベルト付近かその上に固定されていたが、そこに投げきるには勇気がいる。わずかな力みが生じたのだろう。

続いて打席に迎えたのは前日一軍昇格、この日スタメンの森下翔太。左飛、二飛、三ゴロできて向こうも必死。その初球、インハイで止まったミットの位置とは異なる真ん目への147キロをレフト前に打ち返された。

懸命にバックホームする龍馬。しかしその軌道は高く浮いて大山が両手を挙げてホームを駆け抜けた。ヒーローが阪神ナインに追いかけられ、抱き着かれる様子に目をやることもなく、森下は静かにマウンドを降りた。

ヒーローインタビューの中で森下翔太は「上がってきて、ここに立ってヒーローインタビューを受けるという一連の流れをずっとイメージしていたので、その通りになってほんとに良かったです」と話した。

これで新井カープは新たな敵を増やしたことになる。大竹とは3度対戦して計20回2/3で奪った得点は1。16イニング得点なしとなった。

二軍再調整を経て「悔しい思いをしてたんで何とか打ってやろうという思いで打席に入りました」という森下翔太には自信回復の“栄養剤”を与えてしまった。近本や大山や佐藤輝明らに加えてまた面倒な相手が増えたことになる。

打たれた森下は「最後は甘くなった」と悔やんだが、故障上がり第3戦目で100球越えをクリア。八回でも150キロを計測した。

唯一の反省点は勝ちを意識するあまり、大山、佐藤輝明、森下翔太に対してのコントロールが甘くなったことだろう。そう108は煩悩の数。フィジカル面が戻りつつある今、さらに強靭な精神力でマウンドに立ち続ければ必ず結果がついてくる。

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