「最近なに聴いてる?」
平素よりお世話になっております。高島です。
書を捨て、旅には出ず、書どころかイヤホンまで捨ててしまい、朴訥とした表情で留まり、ただ考えることを辞めない。
最近の僕はこんな調子です。もちろんイヤホンの件は比喩で。
昨今聴いた音楽をつらつらと紹介します。Apple Musicのリンク付き。
re:member/Ólafur Arnalds
アイスランドの作曲家、読みは「オーラヴル・アルナルズ」。
実はこっそりを自分で楽曲を作ってはサウンドクラウドにアップしたりしてるのですが、それをいたく気に入ってくれる知人から
「あの感じの作風ならイッコウはぜったい好きなはず」とレコメンドしてもらったアーティスト。
一発目のピアノから共感・完全理解。ジャンルは「クラシック・クロスオーバー」の表記。
クロスオーバーとは耳馴染みのない言葉ですが、クロスしてオーバー。本来はジャンルを掛け合わせた、というような意味合いだそう。
ロックをジャズ解釈した「フュージョン」というジャンルが日本にありますが、一時期はこのクロスオーバーと混同されていた、みたいな話も(だからか、海外の友人に「フュージョンが―」と説明しても伝わりませんでした)。
アルバム全体を纏う雰囲気が「なんとなくSigur Rosっぽいな~」と思って調べてみるとどうりで同じアイスランド出身。一緒にツアーもやってたらしく、彼の出自が「ハードコアバンドのドラマー」というところも共感。
じっくり聴きたいアーティストなのでこれからゆっくりと反芻していきます。
僕のサンクラのリンクも。頑張って更新します。
INTENSE HEALING/亮弦
アコースティックギターを使ったソロアーティスト。
ツアー移動中の車内、なんとなしにYouTubeを開くと半裸でスキンヘッド、その頭にまでタトゥーを施した男性がアコースティックギターを構えているサムネを発見。
これは…、と再生してみるとそれはTED(海外のカンファレンス番組の企画)でのパフォーマンス。
エド・シーランに代表されるようなルーパー・ギターシンセを使ったパフォーマーは昨今数多く活躍してますが、彼の場合はギターのボディを演奏したり(叩いたり、とはちょっと違う)、巻弦の特性を利用して音を再生したり、すこし解釈が違います。
そしてこのアルバムの楽曲には抽象的なタイトルが付けられていて、例えば数億年前に隕石がこの地球に落ちてきて、そこから生命が誕生し文明が発達し、繁栄して、そして朽ちていった、といったような情景が美しく描かれています(M2.DEEP BLUE)。
惜しくも亮弦氏は病魔に倒れ逝去されています。たたずまいからも圧倒的な「生」を感じました。
ちなみにタトゥーではなくボディペイント。
Rise or Die Trying (10 Year Anniversary Edition)/FOUR YEAR STRONG
サウンド的に重心低めのポップパンクバンド。同タイトルが出た高校生の頃は狂ったように聴いていて、アニバーサリーバージョンが出ていたので早速拝聴。
一見ギターがボヨボヨしていて(というより旧バージョンがカチカチしすぎていた)、ライブバージョンに近い印象。しかし細かいジェントの音符の配置が変わっていたり、ツインボーカルのハモり方が変わっていたり、やはり十年の年輪を感じます。この手の作品はただの焼き回しが多いですが、ぜんぜんそんなことはなく。
一周聴いてみて旧バージョンに戻り、ディッキーズのハーフパンツとラグランTシャツを着て、親富孝通りで過ごしていた高校生時代を懐かしんでました。
Silence, Night and Dreams/Zbigniew Preisner
ポーランドの作曲家、ズビグニエフ・プレイスネル。
上記のようにディッキーズを履いた少年は、アメリカ文化ばかりに浸かっていることに違和感を覚え、ギレルモ・デル・トロ監督の「パンズ・ラビリンス」やフランシス・ベーコン(画家の方)などを覚えていった頃に出会った作品。ポーランドといえばベクシンスキーやポランスキー監督を輩出した国。アウシュビッツ強制収容所には死ぬまでに行ってみたい。
ジャンルはApple Music曰く「ワールド」だそうですが、ミニマルでそれこそ「ポストクラシック」のような雰囲気。別解釈したポーティスヘッドみたいに落ち込んだ時に聴くと落ち着きます。
Being Funny in a Foreign Language/THE 1975
今年は間違いなくTHE 1975です。毎アルバム作風を変えても良質でリッチな音楽を作る異常なバンド。
このアルバムの良さが分からない人とはたぶん友達になれない。
Invaders Must Die/The Prodigy
SNSで「意外とイイ奴」と自称する僕でも、誰とも変わらず途方もない暴力衝動に駆られることが時たまあり、そんな時に助けてくれる音楽。泣く子も黙るプロディジー、「侵略者は死ね!」。
アルバム発売当初はそのファッションやデザインが大好きで、音楽も表層しか捉えられてませんでしたが、今聴くとすごく緻密に作られてるんですよね。フレーズの配置や音の選び方とか絶妙で、できることならイヤホンなぞ捨ててスピーカー全開で暴れたい。
レイヴカルチャーが色濃くあって、レイヴというと日本では小室哲哉氏のTRFが有名ですが(「哲也・レイヴ・ファクトリー」の略)、たぶん正しいレイヴはこっち。ギリギリの狂乱。
リンクに貼ってあるのはremixの方ですが、そのどれも原曲の良さを失ってないのはやはりサウンドプロダクションの妙かと。
フロントマンのキースは残念ながら亡くなってしまいましたが、これからも一生聴き続けるだろうなー、というバンド。
「30歳までに聴いた音楽がその人をつくる」と方々から聞いていたため、多少駆け足でいろんな音楽を聴いて、いろんな音楽を好きになりました。
ジャンルは違えども、読み方を知れば理解できてどんな音楽も美しい。ただ愛のない音楽はあまり聴けないよなぁ、と改めて思い留めます。
以上になります。
それでは引き続きどうぞよろしくお願いします。