悪いだけじゃない負け
6連勝を狙ったドラゴンズだが、先発が崩れてタイガースに敗戦。
奇跡のCS出場へ、という観点では痛い1敗である。しかし、チームの未来を想像する上ではあまりネガティブにならなくてもと思っている。
その要因はドラフト6位ルーキー・山本拓実投手のデビューに他ならない。
6点ビハインドの7回からマウンドに上がり、2回を無失点。糸井嘉男選手から初三振を奪い、ピンチを背負っても自分を見失わなかった。9回の反撃を生んだのも彼のピッチングにあったと言っても過言じゃない。
なにせ、つい半年ほど前まで高校生だったのだ。デビューの地、甲子園近くの進学校でエース。身長は170センチに満たないが、唸りを上げる速球とブーメランのように曲がるスライダーが武器の右腕。その投げっぷりは、さながら「小さな則本昂大投手」のようである。
三塁ベンチ上ではお母さんが見守る中で満点デビュー。これ以上ない舞台で親孝行を果たすことで、お母さんだけでなく多くのドラファンが涙腺を緩ませたのではないか。
楽しみな存在が増えたことで、負けたのに穏やかな夜となった。