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音楽レビュー『A Ray Of Hope』高橋幸宏(1998)テクノとアコースティックのいいとこどり
【約1100字/3分で読めます】
【こんな人にオススメ】
・大人
・落ち着いたポップスが好き
・電子音が好き
【こんな時にオススメ】
・リラックスしたい時
・晴れの日
・寂しい時
高橋幸宏 18枚目の
スタジオアルバム
この時代の高橋幸宏のサウンドを一言で表すのは難しいです。
完全なテクノでもなく、完全なアコースティックでもなく、両方を融合したようなサウンドなんですよね。
「いいとこどり」とも言えますし、「どっちつかず」とも言えます。
当時のオリコンのランキングにも、それは影響しており、ランキング圏外となっています。
ちなみに、高橋幸宏のソロアルバムでは、ランキング圏外になっているのは1作目『サラヴァ!』('78)と本盤のみです。
'97年にコンピシオレコードを
立ち上げて以降
スティーヴ・ジャンセン(ジャパン)とのユニット「PLUSE」でのアルバムが発表され、こちらはかなりテクノ色の強い作品だったようです。
その後に発表された本盤にも、PLUSE による楽曲が収められています。
⑤『The Choice』、⑦『Memory Without Consequence』の2曲がそれです。
この2曲は、かなりテクノ色が強い楽曲になっています。
それ以外の曲では、①『I Need You』(ビートルズのカバー)でドラムンベースが取り入れられており、⑩『Run After You(London Remix)』でもかなり激しいリズムトラックの打ち込みが使われています。
上述した楽曲以外のトラックは
基本的にアコースティック色が強いですが、イントロ部分や全体的にほんのりとした電子音が使われています。
このあたりの音色は、2000年代になってからスケッチ・ショウなどの活動でも使われるエレクトロニカに通じる音色もあって、先見性を感じさせますね。
個人的には、表題曲②『A Ray Of Hope』がオススメです。
電子音をほんのりと入れつつも、幸宏さんのルーツである'60~'70年代のソウル的なドラムが全開で、そのドラミングはアル・ジャクソン(アル・グリーン『Let's Stay Together』〈'72〉のドラムでおなじみ)を彷彿とさせます。
【作品情報】
リリース:1998年
アーティスト:高橋幸宏
レーベル:コンピシオレコード
【アーティストについて】
1952~2023。
高校在学中からスタジオミュージシャンとして活動。
’72年、サディスティック・ミカ・バンドに加入。
ミカ・バンド解散後、サディスティックスを経て、’78年にソロデビュー。
同年、細野晴臣、坂本龍一とともに YMO を結成。
YMO 散開後もソロ活動と並行し、映画音楽や山本耀司のパリ・コレクションのサウンドトラックなども手掛けた。
ファッションデザイナーとしても活動。
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