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ジャズと私(18)20代後半にして、アシッド・ジャズを認識する
【約1400字/3.5分で読めます】
▼前回の記事
前回の記事では、20代後半の頃、ファンクに興味を持った私が、マイルス・デイヴィスの『On The Corner』('72)を聴いてハマった話を書きました。
それより少し前なのか、後なのか、はたまた同時期なのか定かではないのですが、ジャミロクワイを聴いたことがあったんですよね。
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たぶん、当時はスティーヴィー・ワンダーに大ハマりしていた頃ですから、必然的にジャミロクワイにも興味を持ったのでしょう(リードボーカルのジェイ・ケイは「白いスティーヴィー・ワンダー」とも言われた)。
ただ、残念ながら、当時の私はこのアルバムにあまりハマらなかったんですね。
▼最近になって、ジャミロクワイの良さがわかった話はこちら
やっぱり、当時の私は「歌もの」が苦手だったようです。
『On The Corner』みたいな、どう聴いても万人受けしなさそうなインストにはハマるのに、ジャミロクワイみたいに大衆にウケる音楽の良さがわからなかったんですよね。
ただ、はじめてジャミロクワイを聴いて、収穫はありました。
それは「アシッド・ジャズ」というジャンルをはっきり認識したことです。
今でこそ、アシッド・ジャズ(特にインコグニート)が大好きな私ですが、当時は、そのワードすら、しっかり認識していませんでした。
本当はもっと前に「アシッド・ジャズ」に出会っていたんですけどね。
それは私が20歳の頃に聴いた坂本龍一の『CM/TV』というベストアルバムでのことでした。
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『CM/TV』は、坂本龍一が CM やテレビ番組に提供した楽曲の中から、本人が選曲したベスト盤です。
ライナーノーツ(解説文)は、坂本龍一自身が書いており、収録曲の1曲ずつに短いコメントを残しています。
『CM/TV』の収録曲の中に、アシッド・ジャズっぽい楽曲も収録されており、本人のコメントの中で「Jazz Funk」というキーワードが出ていました。
40.バドワイザー「Beyond」/1998
こういうのを、昔とった杵柄というんでしょうか。Jazz Funkっす。
「昔とった杵柄」という言われ方もされており、「ずいぶん昔に、坂本龍一がやっていた音楽ジャンルであろう」ことが推察されました。
ただ、20歳の頃の私は「ジャズ・ファンク」なんて、まったく知らない音楽ジャンルですから、「へー、そうなんだぁ」くらいに、読み流していたんですね。
そして、20代後半になってから、ジャミロクワイを聴いて、「あの時、坂本龍一が言っていたのは、こういう音楽のことか!」と理解したのです。
もちろん、このライナーノーツで言っているのは「ジャズ・ファンク」で、厳密に言うと、「アシッド・ジャズ」とも違う言葉なんでけどね。
Wikipedia の「ジャズ・ファンク」の項目で「主なミュージシャン」を見ると、ジャミロクワイやザ・ブランニュー・ヘヴィーズの名前もあるので、遠からずと言った感じでしょう。
とは言っても、この時に私が聴いたジャミロクワイの楽曲と、『CM/TV』に収録された坂本龍一の「アシッド・ジャズ風」の楽曲は、直接的に結びつく感じがしなかったんですよね。
おそらく、この時に私は「アシッド・ジャズ」というものに、はじめて興味を持ったのだと思います。
(続く)
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