音楽レビュー『Gnu High』Kenny Wheeler('76)ホルン、ピアノのコンビネーションが抜群
カナダで生まれ、
イギリスで活躍した
トランペット奏者
ケニー・ホイーラーは、
カナダ生まれのトランペット、
フリューゲルホルン、
コルネット奏者で、
'50年代にイギリスにわたって以降、
数々のイギリスの
ジャズミュージシャンと
共演しました。
本盤はケニー・ホイーラーが
ECM レコードで発表した
はじめてのリーダー作です。
キース・ジャレット(ピアノ)、
デイヴ・ホランド(ベース)、
ジャック・ディジョネット
(ドラム)が参加しています。
徹底的に音を調整した
スタジオ作品でありながら、
ライブっぽさも感じる
本盤ではケニー・ホイーラーが
フリューゲルホルンを演奏しています。
このフリューゲルホルンの音色が
特筆すべきポイントです。
トランペットにも似ていますが、
音色に微妙な違いがあるんですよね。
うまく言葉で
言い表せないのですが、
パッと聴いた感じでも、
フリューゲルホルンだと
トランペットとは違う雰囲気が
漂います。
フリューゲルホルンの方が、
音が柔らかい印象が
あるんですよね。
トランペットだともう少し
音が尖った感じがします。
ゆえにトランペットの演奏は
哀愁を感じさせますが、
フリューゲルホルンは
温かい印象もある気がしますね。
ECM の音源全般に
言えることでもありますが、
すべてが生楽器の音ですが、
スタジオで徹底的に音に
細かい調整がされています。
それでいて、
どこかのライブ会場での
演奏を録音したような
音質にも感じられ、
この絶妙な塩梅は、
ECM レコードならではの
音という感じがしますね。
ホルン、ピアノの
コンビネーションが抜群
収録されているのは、
全3曲で、1曲目は
20分以上の長尺の曲です。
聴き慣れない方には、
違和感を抱かれるかもしれませんが、
ジャズではこのような構成は
割とスタンダードです。
収録曲が少なく、
一つの曲が10分以上の
長さがあったら、
「本格派のジャズ」
と認識していいでしょう。
①『Heyoke』は、
前述したように20分以上の
長尺の曲で、
のっけから聴こえる
ケニー・ホイーラーのホルンの音に
やられます。
このメロディーの魅力が
なんとも言えません。
冒頭に出てくるメロディーは、
その後、キース・ジャレットの
ピアノでも演奏されますが、
どの楽器で聴いても
秀逸なメロディーですね。
そして、20分にもわたる曲ですから、
演奏が進んでいく中で、
どんどん曲調が変化していき、
終盤はかなりエキサイティングな
演奏が展開されます。
そして、最後はジャズの
王道よろしく、
冒頭のテーマに戻りつつ、
ジャック・ディジョネットによる
ドラムソロ(シンバル)、
キースのピアノ、
ケニーのホルンによる
掛け合いでピリオドが打たれるのです。
②『Smatter』も
ケニーの印象的なフレーズから
はじまる曲です。
5分程度の曲なので、
①に比べると聴きやすいかも
しれません。
ケニーのホルンは、
この曲に見られるような
軽快さも大きな魅力ですね。
ここでもキースのピアノとの
絡み方が絶妙です。
最後の③『Gnu Suite』は、
ケニーのホルン、キースのピアノから
はじまる渋めの楽曲です。
途中からドラム、
ベースも加わりますが、
落ち着いた調子の曲で、
リラックスしたムードがいいですね。
【作品情報】
リリース:1976年
アーティスト:ケニー・ホイーラー
レーベル:ECM
【アーティストについて】
1930~2014。
カナダ生まれ、
イギリスで活動した
トランペット、フリューゲルホルン、
コルネット奏者。
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