お笑い芸人を目指していた頃(8)オーディションはじまる
いよいよ時間となり、
オーディションがスタートしました。
まずは受け付けです。
川岸さんの呼びかけで、
受け付け用のリストに
名前を書き、私ははじめてだったので、
履歴書も提出しました。
リストに名前を書いた順番に
審査されることになります。
オーディションにきている割には、
意外とみんな積極的に
前に出る感じではありませんでした。
かく言う私も、
後ろの方で様子見をしておりました^^;
川岸さんから、みんなに対して、
「どうした!
最初にネタをやりたい奴はいないのか?」
という発破の声が
かかっていたのを覚えています。
結局、私は真ん中くらいの
順番にエントリーしました。
我ながら、無難な位置取りですね。
オーディション会場の稽古場は、
そんなに広い部屋ではないので、
すぐにネタを披露するわけではない
人たちは、一旦、外で待機させられました。
5組くらいずつ、
順番に部屋に入り、
自分の順番を待つというスタイルです。
メカドッグ、てんぐり辺りの
コンビはさっさとネタを済ませて
帰って行きました。
もちろん、初心者の私とは違って、
余裕がある感じです。
この時に、メカドッグの
スギちゃんが後輩の流れ星らに
挨拶していたのを覚えています。
私がスギちゃんを間近で見て、
顔を認識したのは、この時でした。
スギちゃんは
黒い革ジャンを着ていて、
ハーレーに乗っていたんですよ。
相方を後ろに乗せて
「じゃあな!」と言って
帰っていきました。
その背中が
どれだけカッコ良かったことか。
「『イージー・ライダー』かよ」
と心の中でツッコんでいました。
あの頃のスギちゃんが、
本物のワイルドだったと思います(笑)
自分の順番待ちをしている時は、
端の方でネタ合わせをする
コンビがいたり、
雑談をする人たちがいたり、
各自がそれぞれの
時間を過ごしていました。
私はそれを観察していたのです。
私にとっては、
はじめてのオーディションですから、
「こういう感じなんだなぁ」
と感慨深いものを感じていたんですね。
その時、ある一人の男性と
目が合いました。
天然なのか、
パーマなのかわかりませんが、
モジャモジャ頭で、
顔は面長、目がギョロっとした人でした。
その人は私に、
笑顔を向けていました。
たぶん、向こうから声を
かけてきたんだと思うんですが、
しばらく二人で雑談していました。
「こんにちは」
「どこから来たんですか?」
「え?北海道ですか!すごいですね!」
「21歳なんですか」
彼は28歳の東京の人でした。
なんとなく、
初対面という感じがしない人で、
非常に気が合うような気がしました。
このまま喋っていたら、
友達になれるのでは、
というくらい親しみやすかったんですよ。
二人で盛り上がっていると、
彼のとなりに一人の男性がやってきました。
静かに彼の服の袖を引っ張っています。
モジャモジャの彼は、
その男性に隅の方に引っ張られていき、
「それじゃあ、また!」
とお別れしました。
隅の方に行った二人は、
壁に向かって
ネタ合わせをはじめていました。
どうやら、相方だったようです。
* * *
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