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テレビレビュー『落談』(2016)知識を得ると落語が一層おもしろく感じられる
【約1500字/3.5分で読めます】
【こんな人にオススメ】
・落語に興味がある
・江戸時代に興味がある
・お笑いが好き
【こんな時にオススメ】
・教養を身に付けたい
・おもしろい話が聴きたい
・話術を学びたい
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動画配信に「落語」の
コンテンツがないか探していたら
見つけたのがこの番組でした。
もとは、ひかりTV で放送された番組のようで、今はいろんな配信サービスで観ることができます。
司会はお笑いコンビの米粒写経で、毎回さまざまなゲストを招いて、落語について話す番組です。
ゲストと落語を一席、鑑賞し、その演目について話しています。
(落語を披露するのは立川志ら乃)
初心者~玄人まで揃った
多彩なゲストがおもしろい
それぞれの回のゲスト、取り上げられた演目は以下のようになっています。
#1 水道橋博士(浅草キッド)/粗忽長屋
#2 塙宣之(ナイツ)/火焔太鼓
#3 磯山さやか/紙入れ
#4 なぎら健壱/芝浜
#5 大槻ケンヂ/あくび指南
#6 松尾貴史/だくだく
取り上げられている演目は、いずれも定番のものばかりですが、私が観たことがあったのは「芝浜」のみでした。
ゲストの反応がそれぞれ違っていたのもおもしろかったです。
漫才師である水道橋博士や塙宣之は、同じお笑いの舞台に立つ者としてリスペクトを感じさせるコメント、落語にそれほど精通していない磯山さやか、大槻ケンヂのコメントには、新しいことを知る喜びに溢れていました。
一方で、なぎら健壱、松尾貴史は、かなりの落語通で、洞察の深いコメントが多く出てきます。
米粒写経の解説がおもしろい
米粒写経のお二人は、大学の落研出身とのことで、かなり落語に詳しかったです。
マニアだけの閉じた話し方ではなく、初心者にも伝わるような配慮がされているので、誰もが安心して楽しめるでしょう。
米粒写経の解説でおもしろかったものとして、1回目の『粗忽長屋』の話が印象に残っています。
※粗忽(そこつ):そそっかしいこと
この演目では、同じ長屋に住む二人の男が出てくるのですが、そのうちの一人の男が道端で人が集まっているところへ出くわします。
近くに行ってみると、人が行き倒れていました(亡くなっている)。
行き倒れている男の顔を見て、男は「同じ長屋に住む男だ」と言って、長屋からその男を連れてくる話なんですよね。
男が思っている「その男」は、長屋にいるのだから、行き倒れている男は、「その男」であるはずはないのですが、そう思い込んで、周りを説得し出すのが、この話のおもしろいところです。
米粒写経の解説によれば、「この時代は鏡が、現代のように普及していない時代の話だと思うと腑に落ちる」とのことでした。
たしかに、江戸時代は鏡がどこにでもあったわけでもなく、現代のように写真もありません(別の回で解説されていたが、江戸時代の人々はあまり物を持たなかった)。
そうすると、人々は自分の顔をそれほど認識していなかった可能性がありますよね。
『粗忽長屋』は、現代ではなんだか突拍子もない話に感じられるかもしれませんが、そういう時代の話だと想像すれば、違和感なく受け止められるのです。
このような解説がなければ、ただただ「おもしろおかしい話」で終わってしまいますが、そのわけを知るとより一層落語がおもしろく感じられます。
こういう話を聴くにつけ、やはり、「落語」はイマジネーションの世界なのだなぁと改めて再認識させられました。
【作品情報】
2016年放送(全6回)
出演:米粒写経、立川志ら乃
放送局:ひかりTV
配信:Amazonプライム・ビデオ、
U-NEXT、Hulu、FOD
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