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アップルミュージックで聴けるオススメの落語

【約2600字/6.5分で読めます】

年末年始は個人的に落語が聴きたくなる時期です。

私のウォークマンには、桂米朝の落語が何席か入っていて、毎年のように聴いてきました。

ところが段々、ウォークマンもへたってきていて、すぐに充電がなくなるんですね。

これはまずいと思い、最近、アップルミュージックに加入したのです。

アップルミュージックに音楽がたくさんあるのは、当然知っていますが、「落語もあったりしないかな?」と思い、検索してみると、出てきました。

さすがに、名人級の桂米朝の落語などはありませんでしたが、他の人の落語も聴いてみようかと思い、いくつか聴いてみたんですね。

やはり、私の中では桂米朝が一番なじみがあって、聴きやすいと思いましたが、他の方の落語もおもしろいです。

それと気になっているのが「講談」なんですね。

アップルミュージックには「講談」もあって、今後聴いてみたいと思っています。

この記事では、最近、アップルミュージックで聴いた落語をいくつか紹介します。


最初に聴いたのは、立川志らくの「時そば」です。

「時そば」は有名な演目なので、それほど落語に馴染みがない方でも、名前くらいは聴いたことがあるのではないでしょうか。

簡単に言うと、おそば屋さんで、おあいその途中に客が店主に時間を訪ねて、勘定をごまかすという話です。

そばが16文で、客が店主の前で一文銭を「ひい、ふう、みい……」と一枚ずつ数えていきます。

「八つ」まで数えたところで、客が「今、何時なんどきでい?」と尋ねるんですね。

すると、店主は「九つでい!」と答えます。

客は「そうか」と言いながら、何事もなかったようにお金を「十」から数えはじめます。

そうやって「一文」ごまかしたという話なんですが、それを見ていた別の客がこれの真似をしようとして、見事にしくじるのがおもしろい話なんですよね。

この演目では話の本筋の他に、「そばの食べ方」が落語家によって、差があります(5代目・柳家小さん師匠のうまそうな食べっぷりが有名)。

志らく師匠の『時そば』では、その辺のこともネタにしていたのがおもしろかったです。


『抜け雀』は、桂米朝師匠のものを聴いたことがあって、個人的に大好きな演目でした。

今回は金原亭馬生のものを聴きました。

話の方は一文無しで宿屋に泊まった絵師が、お代の代わりに絵を置いていくという内容です。

絵師が、ついたてに描いたのは、数羽の雀でした。

宿屋の主人は、最初はこの絵になんの価値も感じず、勘定を踏み倒されて、また損をしたと嘆いていました(この宿屋には一文無しの客がよく来ていた)。

あくる日、例のついたてが置いてある部屋を掃除しようと、部屋に入ると、中から数羽の雀の泣き声が聴こえてきます。

なんと、そこには朝日に照らされた数羽の雀がいるではないですか。

ついたては、まっさらになっていて、絵に描かれた雀が外に飛び出しているのです。

宿屋の主人が雀に近付くと、雀たちは再びついたての絵に戻ってしまいました。

この不思議な雀の絵が評判となり、宿屋は繁盛するようになります。

評判を聞きつけた大名がやってきて、この絵を千両で引き取りたいと申し出るにいたりました。

しかし、主人には絵師との約束がありました。

「この絵を人にあげてはいけない」という約束を守り、主人はこの申し出を断るんですよね。

こんな感じで続いていく話なんですが、なんといっても、ついたてに描かれた雀が外に出てくるのがおもしろいです。

そして、一文なしで泊まる絵師の堂々とした踏み倒し方も、またおもしろいところなんですよね(逆に宿屋の主人は弱気)。

マンガの『ワンピース』の「ワノ国編」で、絵に描いた雀が飛び出すシーンがあったと思うんですが、おそらくこの演目がモチーフになっているのでしょうね。


最後は、柳家喬太郎の『死神』を紹介しておきましょう。

柳家喬太郎師匠は、数年前に観た映画『浜の朝日の嘘つきどもと』で知りました。

最初は落語家と知らずに観ていて、「いい演技をする役者さんだなぁ」と思い調べてみたら、本職は落語家であることを知ったのです。

今のところ、アップルミュージックで聴ける落語家さんの中では、柳家喬太郎師匠が一番聴きやすく、他にもいくつかの演目を聴きました。

『死神』も有名な演目で、名前は知っていましたが、実際に聴くのは、今回がはじめてでした(米津玄師がこの演目をモチーフにした同名の楽曲を手掛けたことでも有名)。

この演目は、ある男が自殺しようとしているところへ死神が現れるところからはじまります。

死神は自殺をやめさせ、代わりに男へ「死神を追い払うまじない」を教えるのです。

男は死神が見えるようになり、病床に伏せている患者の足元にそれがいる時は追い払うことができます。

しかし、死神が枕元まできていたら、それは患者の寿命ということで、追い払うことができません。

男はこの能力を使って、医者になりすまし、どんどんと病床に伏せている患者を回復させました。

どんな病気でもたちどころに直せる名医として、巷でも評判となり、男は一攫千金を得るんですね。

ところが、中には死神が枕元にまできてしまった患者もチラホラ出てきます。

そうすると、男には、なす術もありません。

段々と、そういう重篤な患者が増えて、男は治療を断ることが増えてきました。

今度は「やぶ医者」だという評判になり、たちまち、男は元の文無しに逆戻りです。

そんな折に、男の元に、大きな商家から治療の依頼が舞い込むのです。

商家の大旦那が重篤で病床に伏せているので、これを治してほしいという話でした。

男が行ってみると、大旦那の枕元には、やはり死神がいました。

もう枕元にまで来てしまっているので、男にはどうしようもありません。

ところが商家の者たちは、大旦那がいなくなってしまっては、商売がなりゆかなくなるというので、必死です。

依頼の内容もどんどんハードルが下がり、「少しでも命を持たせてくれれば」、それとは逆に礼金の方はどんどんとタカが上がり、「千両」にまで達しました。

男は悩みました。なんせ一文無しですから、千両と言われれば、喉から手が出るほど欲しいのは当たり前のことです。

悩んだ男がどのような決断をするのか、それは本編の方で楽しんでいただくとしましょう。

柳家喬太郎師匠は、声がとても魅力的で、死神の演じ方もドスが利いていて、いいんですよね。

ぜひ、年末年始にピッタリな落語を聴いてみてください。


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いっき82
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