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書籍レビュー

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#70年代

書籍レビュー『ハイ・ライズ』J・G・バラード(1975)現実の世界にもある階層間の闘争

書籍レビュー『ハイ・ライズ』J・G・バラード(1975)現実の世界にもある階層間の闘争


地を制した人類は
天へとその触手を伸ばした本作を知ったのは、
海外文学を多く紹介した
『やりなおし世界文学』
という本を読んだ時でした。

この本の中で、
「大陸を制した人々が
 今度は上を目指した」

というような紹介が
されていたんですね。

私は建築にも興味があって、
特にそびえたつ高層建築には
憧れすらあります。

本作はそんな高層マンションを
舞台にした物語です。

ロンドンの中心部に

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書籍レビュー『日本沈没』(1973)日本がなくなる時、日本人は何を思うか

書籍レビュー『日本沈没』(1973)日本がなくなる時、日本人は何を思うか

日本の SF 御三家・
小松左京をはじめて読む著者の小松左京は
日本の SF 御三家と称される
大家の一人です。

(他の二人は星新一、筒井康隆)

小松左京の作品は、
はじめて読みましたが、

非常に高度な科学の話が
わかりやすく書かれており、
最後まで楽しく
読むことができました。

本作は氏の代表作であり、
長年にわたって、
さまざまな映像作品にも
なっています。

近年は、TBS の日曜劇

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書籍レビュー『喜多川歌麿女絵草紙』藤沢周平(1975~1976)歌麿と女たちの物語

書籍レビュー『喜多川歌麿女絵草紙』藤沢周平(1975~1976)歌麿と女たちの物語

謎に包まれた江戸時代の絵師たち喜多川歌麿は、
江戸時代の浮世絵師です。

生年は1753(宝暦3)年、
没年は1806(文化3)年。

一般的には
こう言われていますが、
詳しい生年や出生地、
出身地については不明で、

生年については、
亡くなった年の数え歳からの
逆算で想定されたものです。

歌麿に限った話ではなく、
このように江戸時代の絵師は、
経歴が不詳の方が多いんですね。

特に有名なの

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書籍レビュー『細野晴臣 録音術 ぼくらはこうして音をつくってきた』鈴木惣一朗(2015)音響を知ると、より音楽がおもしろい

書籍レビュー『細野晴臣 録音術 ぼくらはこうして音をつくってきた』鈴木惣一朗(2015)音響を知ると、より音楽がおもしろい

細野晴臣とは細野晴臣は、’69年にデビューした
ミュージシャンです。

エイプリル・フールの
ベーシストを経て、

’69年、大滝詠一らとともに、
はっぴいえんどを結成し、
日本語のロックの
礎を築きます。

’73年、はっぴいえんど解散後、
キャラメル・ママを結成、
(後のティン・パン・アレー)

このバンドでは、
荒井由実などの
バックバンドとして、
プロデュースも務めました。

バンドでの活

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書籍レビュー『剣客商売二 辻斬り』池波正太郎(1973)初心者にも親しみやすい時代小説

書籍レビュー『剣客商売二 辻斬り』池波正太郎(1973)初心者にも親しみやすい時代小説

対照的な秋山親子戦後を代表する時代小説家、
池波正太郎の人気シリーズ
『剣客商売(けんかくしょうばい)』の
第二巻です。

このシリーズは、
老剣客・秋山小兵衛(あきやまこへえ)を
主人公とする連作短編小説です。

’72~’89年に『小説新潮』で連載されていました。

秋山小兵衛は、
60代で隠居生活を送る身でありながら、

「おはる」という40歳以上も
年下の妻を持つ、
モテモテの男です。

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