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書籍レビュー

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#2000年代

書籍レビュー『家日和』奥田英朗(2004~2006)大きな事件はなくてもおもしろい日常

書籍レビュー『家日和』奥田英朗(2004~2006)大きな事件はなくてもおもしろい日常


「平成の家族小説」シリーズ1作目本作を手掛けた奥田英朗は、
20代の頃から好きな作家でした。

以前、「エッセイの研究」
というシリーズで、
彼のエッセイを
取り上げたことがありましたが、

意外にも note にやってきてから、
奥田英朗の作品をメインで
取り上げるのははじめてです。

本書は短編集で、
各話につながりはありませんが、
「平成の家族小説」シリーズの
1作目という扱いのようです。

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書籍レビュー『ラブコメ』松久淳+田中渉(2004)高橋幸宏の楽曲が使われているんだもの

書籍レビュー『ラブコメ』松久淳+田中渉(2004)高橋幸宏の楽曲が使われているんだもの


高橋幸宏の楽曲が
使われているんだもの普段の私は恋愛小説は
読まないんですが、
これは読まずにいられませんでした。

というのも、本作では、
挿入歌として、
高橋幸宏の楽曲が
使われているからなんですね。

とある音楽雑誌の
高橋幸宏のインタビューで、
このことが語られていました。

なお、本作の中で、
挿入歌として使われているのは、
以下の2曲です。

いずれも私が
二十歳くらいの頃に
よく聴

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書籍レビュー『くちぶえ番長』重松清(2005~2006)子どもは子どもなりに、大人は大人なりに楽しめる

書籍レビュー『くちぶえ番長』重松清(2005~2006)子どもは子どもなりに、大人は大人なりに楽しめる

ノスタルジーに浸る重松清の作品を読むのは2冊目です。

重松清といえば、
『流星ワゴン』('02)

『とんび』('08)

といった映像化作品が
多い作家でもありますよね。

数年前に私が読んだのは
『トワイライト』
という作品でした。

書籍レビュー『アポロってほんとうに月に行ったの?』エム・ハーガ(2002)もしも、アレが全部ウソだったとしたら……

書籍レビュー『アポロってほんとうに月に行ったの?』エム・ハーガ(2002)もしも、アレが全部ウソだったとしたら……

「アポロ計画」とはポルノグラフィティが
'99年に発表した
メジャーデビューシングルより
引用させてもらいました。

この歌詞のモチーフとなっている
「アポロ計画」は、

'62~'72年にアメリカ航空宇宙局
(NASA)が実施した
人類初となる月への
有人宇宙飛行計画です。

アポロ1号では、
予行演習中の火災事故で
3名の飛行士が死亡する
痛ましい事故もありましたが、

'68年のアポロ7号で

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書籍レビュー『細野晴臣 録音術 ぼくらはこうして音をつくってきた』鈴木惣一朗(2015)音響を知ると、より音楽がおもしろい

書籍レビュー『細野晴臣 録音術 ぼくらはこうして音をつくってきた』鈴木惣一朗(2015)音響を知ると、より音楽がおもしろい

細野晴臣とは細野晴臣は、’69年にデビューした
ミュージシャンです。

エイプリル・フールの
ベーシストを経て、

’69年、大滝詠一らとともに、
はっぴいえんどを結成し、
日本語のロックの
礎を築きます。

’73年、はっぴいえんど解散後、
キャラメル・ママを結成、
(後のティン・パン・アレー)

このバンドでは、
荒井由実などの
バックバンドとして、
プロデュースも務めました。

バンドでの活

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書籍レビュー『the TEAM ザ・チーム』井上夢人(2006)霊導師がお悩みを解決!

書籍レビュー『the TEAM ザ・チーム』井上夢人(2006)霊導師がお悩みを解決!

能力が異なる4人のチーム霊導師・能代あや子は、
テレビ番組で相談者から
お悩み相談を受け、

それらの悩みを次々と
解決に導き、世間の注目を
集めていました。

時にその相談事は、
殺人事件の真相を
暴くこともあり、

ニュースや新聞でも
話題になるほどです。

能代あや子の正体は、
世間に知られていませんが、
その正体を知る仲間が
他に3人います。

鳴滝昇治、
彼は能代のマネージャーを
務める

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書籍レビュー『短くて恐ろしいフィルの時代』ジョージ・ソーンダーズ(2005)争うことがバカらしくなる

書籍レビュー『短くて恐ろしいフィルの時代』ジョージ・ソーンダーズ(2005)争うことがバカらしくなる

独裁者フィルの時代note では現在、読書感想投稿コンテスト
「読書の秋2021」が開催中です。

課題図書に指定されていた全84冊のなかで、
もっとも興味を引き付けられたのが本作でした。

紹介文にある
「熱狂的な演説で民衆を煽る独裁者フィル」
「国民が6人しかいない小国をめぐる
 奇想天外かつ爆笑必至の物語」
という一文が興味をひきます。

タイトルと装丁も簡潔で素晴らしいです。

読みはじめ

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