マガジンのカバー画像

書籍レビュー

80
書籍レビューをまとめたマガジンです。
運営しているクリエイター

#80年代

書籍レビュー『1989年のテレビっ子』戸部田誠(2022)'70~'90年代のバラエティ(お笑い)史

書籍レビュー『1989年のテレビっ子』戸部田誠(2022)'70~'90年代のバラエティ(お笑い)史

※3000字近い記事です。
 お時間のある時に
 お付き合いいただけると嬉しいです。

誰にでも手に入る情報を
もとにしつつ、
誰も書いていないこと著者は私と年代が近く、
この本で書かれていることも、
私が10代の頃から
追ってきたような話しでした。

ですから、「今さら」
という感じもあったのですが、

読みはじめてみると、
思いのほか、夢中になって
読んでしまいました。

改めて、
「自分はあ

もっとみる
書籍レビュー『小悪魔アザゼル18の物語』アイザック・アシモフ(1988)「語り」で描かれるブラックジョーク

書籍レビュー『小悪魔アザゼル18の物語』アイザック・アシモフ(1988)「語り」で描かれるブラックジョーク


「小悪魔アザゼル」が生まれた経緯作者のアイザック・
アシモフについては、
以前、この記事に詳しく書きました。

SF 界の「ビッグ3」と称される
作家の一人でした。

そんな大作家ですが、
私自身はアシモフの作品を
はじめて読みました。

しかも、著者自身の
前書きによると、
本作は著者の作品の中では、
異質な作品のようです。

本作の執筆に至った経緯は、
'80年にとある雑誌から
ミステリー小

もっとみる
書籍レビュー『スタンド・バイ・ミー』スティーヴン・キング(1982)きっとあなたにもあるはず、輝かしい思い出

書籍レビュー『スタンド・バイ・ミー』スティーヴン・キング(1982)きっとあなたにもあるはず、輝かしい思い出

きっとあなたにもあるはず、
輝かしい思い出オーストリアの詩人・
リルケ(1875~1926)が
こんな言葉を残しています。

この言葉を読んだ時、
私は本作のことを
思い出しました。

以前から映画版は
大好きだったんですが、
原作ははじめて読みました。

スティーヴン・キング原作の
映画は他にもいろいろ観ていて、

デビュー作の『キャリー』、
『シャイニング』、
『ショーシャンクの空に』

いず

もっとみる
書籍レビュー『アルケミスト 夢を旅した少年』パウロ・コエーリョ(1988)ひたむきな主人公の探究心が読者の心を打つ

書籍レビュー『アルケミスト 夢を旅した少年』パウロ・コエーリョ(1988)ひたむきな主人公の探究心が読者の心を打つ

ブラジルから生まれた
世界的な大ヒット作本作は'88年にブラジルで出版され、
'93年にアメリカで出版された後に、
67か国語に翻訳され、
世界で3000万部売れた大ヒット作です。

内容は羊飼いの少年が
宝物を追い求めて旅をする
物語になっています。

ファンタジーの世界を
ベースにしていますが、
自己啓発の要素も強い作品です。

王様と出会い、
少年の壮大な冒険がはじまるスペインの羊飼いだった

もっとみる
書籍レビュー『細野晴臣 録音術 ぼくらはこうして音をつくってきた』鈴木惣一朗(2015)音響を知ると、より音楽がおもしろい

書籍レビュー『細野晴臣 録音術 ぼくらはこうして音をつくってきた』鈴木惣一朗(2015)音響を知ると、より音楽がおもしろい

細野晴臣とは細野晴臣は、’69年にデビューした
ミュージシャンです。

エイプリル・フールの
ベーシストを経て、

’69年、大滝詠一らとともに、
はっぴいえんどを結成し、
日本語のロックの
礎を築きます。

’73年、はっぴいえんど解散後、
キャラメル・ママを結成、
(後のティン・パン・アレー)

このバンドでは、
荒井由実などの
バックバンドとして、
プロデュースも務めました。

バンドでの活

もっとみる
書籍レビュー『旅のラゴス』筒井康隆(1984~1986)ワクワクが止まらない冒険譚

書籍レビュー『旅のラゴス』筒井康隆(1984~1986)ワクワクが止まらない冒険譚

※2500字以上の記事です。
 お時間のある時に、
 お付き合いいただけると嬉しいです。

筒井康隆と私筒井康隆は、
’60年代から活躍する作家で、

星新一、小松左京と並び、
日本の SF 御三家と称される
大家です。

彼の代表作
『時をかける少女』(’67)は、
何度も映像化しているので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。

’60年代に書かれた作品が、
何十年経っても映像化されるのが

もっとみる
書籍レビュー『砂の果実 80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々』売野雅勇(2016)記憶に深く刻まれるワード

書籍レビュー『砂の果実 80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々』売野雅勇(2016)記憶に深く刻まれるワード

コピーライターから作詞家へ高校時代にラッツ&スター、
中谷美紀の楽曲を聴いていた
私にとっては、
非常に興味深い本でした。

私がこの組み合わせで
音楽を聴いていたのは、
高校1年生の頃です。

時は‘90年代の終わり、

巷では GRAY だ、浜崎あゆみだ、
と騒いでいる頃の話で、

そんな組み合わせで音楽を
聴いている人は皆無でしたね(^^;

この両方のアーティストに、
歌詞を提供していたの

もっとみる
書籍レビュー『TR-808〈ヤオヤ〉を作った神々』田中雄二(2020)電子楽器と駆け抜ける40年

書籍レビュー『TR-808〈ヤオヤ〉を作った神々』田中雄二(2020)電子楽器と駆け抜ける40年

リズムマシンを楽器にした名機現在のようにパソコンが普及するまで、
電子音楽ではシンセサイザー、
サンプラー(外部の音を取り込み加工)、
リズムマシンを使って
作られるのが一般的でした。

本書で取り上げられている
ローランドの「TR-808」
通称「ヤオヤ」は、
’80~’83年に製造されていた
リズムマシンの名機です。

TR-808 以前のリズムマシンでは、
あらかじめセットされた
リズムパタ

もっとみる