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書籍レビュー

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2025年2月の記事一覧

書籍レビュー『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆(2024)労働と読書の関係を歴史からひもとく

書籍レビュー『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆(2024)労働と読書の関係を歴史からひもとく

【約1500字/4分で読めます】

おもしろくて
いっきに読んでしまった!著者は子どもの頃から「本が大好き」で、はじめて就職が決まった時には「好きな本がたくさん買える」と喜んだそうです。

しかし、実際に働いてみると、全然、本が読めなくなってしまいました。

一番の理由は「時間がない」ことです。

残業もそれなりにあり、たまに定時で終われる日があるかと思えば、同僚との付き合いなどもあって、自分の時

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書籍レビュー『オーケストラの職人たち』岩城宏之(1998~2001)裏方の仕事を知ると、人生がもっと楽しくなる

書籍レビュー『オーケストラの職人たち』岩城宏之(1998~2001)裏方の仕事を知ると、人生がもっと楽しくなる

【約1900字/5分で読めます】

著者の岩城宏之は
「日本を代表する指揮者」と紹介されるのが苦手だったそうです(笑)

指揮者としてのデビュー(東京藝術大学在学中に NHK交響楽団の副指揮者となった)が'56年です。

その後、世界中を飛び回って、主要なオーケストラで指揮をしたとのことですから、実際には、やはり「日本を代表する指揮者」の一人であるのは間違いありません。

ただ、本人はクラシック音

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書籍レビュー『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』J・ナヴァロ、M・カーリング(2010)大脳辺縁系はウソをつけない

書籍レビュー『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』J・ナヴァロ、M・カーリング(2010)大脳辺縁系はウソをつけない

【約2100字/5.5分で読めます】

「スパイキャッチャー」
「人間ウソ発見器」の
異名を持つ著者本書は FBI 捜査官の経験を持つ著者が書いた「しぐさ」からわかる心理学の本です。

もちろん、一つのしぐさからわかることは限られており、前後関係がとても大事だと書かれています。

また、プロである著者の感覚から言っても、人のウソを見抜くのは、並大抵のことではないとのことです。

一つのしぐさから、

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書籍レビュー『蟬しぐれ』藤沢周平(1986~1987)人間ドラマあり、自然描写あり、剣術アクションありの贅沢な作品

書籍レビュー『蟬しぐれ』藤沢周平(1986~1987)人間ドラマあり、自然描写あり、剣術アクションありの贅沢な作品

【約1800字/4.5分で読めます】

'80年代に藤沢周平が新聞で連載大変人気のある作品で、'90年代には宝塚歌劇団が舞台化、'00年代にはテレビドラマや映画にもなっています。

しかし、作者は新聞で連載していた当時、「なかなかおもしろくならない」と悩んでいたようです。

今いち手応えを感じられなかった作者が、本作に自信を持ったのは、単行本として本作が一つにまとまった時のことでした。

確かに、

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