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書籍レビュー

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2024年11月の記事一覧

書籍レビュー『三の隣は五号室』長嶋有(2015)私が今いる場所は、かつて別の誰かが居た場所

書籍レビュー『三の隣は五号室』長嶋有(2015)私が今いる場所は、かつて別の誰かが居た場所

【約2300字/6分で読めます】

自分が住んでいる部屋の前の住人を
想像してしまうことはないですか?私は配信サービスなどを利用して、昔の映画やドラマを観たり、昔の音楽を楽しむことが多いのですが、そんな時に想像してしまうことがあるんですよね。

「もしかして、私よりも前の住人がこの部屋で同じものを観ていたかもしれない(あるいは聴いていたかもしれない)」

私が住んでいるのは、築30年程度の借家なの

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書籍レビュー『十二月の十日』ジョージ・ソーンダーズ(2013)意味がわかった時、あなたも戦慄を覚える

書籍レビュー『十二月の十日』ジョージ・ソーンダーズ(2013)意味がわかった時、あなたも戦慄を覚える

【約1300字/3.5分で読めます】

ジョージ・ソーンダーズは今、
アメリカで注目されている作家本書の訳者あとがきによると、アメリカでは短編小説の名手として知られ、「作家志望の若者にもっとも文体を真似される作家」なんだそうです。

本作も発行されるとすぐに、『ニューヨーク・タイムズ』で絶賛され、その年のベストセラーリストをトップで独走したとのことです。

そんなことを知らずに読みはじめたがとにか

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書籍レビュー『漫画のカリスマ』長山靖生(2024)知る人ぞ知るカリスマ漫画家たち

書籍レビュー『漫画のカリスマ』長山靖生(2024)知る人ぞ知るカリスマ漫画家たち

【約1300字/3.5分で読めます】

本屋で見かけてすぐさま飛びついた9月に発行されたばかりの新刊です。

著者は歯科医の傍ら、評論家として執筆活動を続けている方で、この本で取り上げられているのは、白土三平、つげ義春、吾妻ひでお、諸星大二郎の4人のマンガ家です。

タイトルの通り、「漫画のカリスマ」の4人ですが、恐ろしいくらい世間では認知されていない方々とも思います。

私自身も、実際に読んだこ

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