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書籍レビュー

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2024年10月の記事一覧

書籍レビュー『三四郎』夏目漱石(1908)明治末期ならではの恋模様

書籍レビュー『三四郎』夏目漱石(1908)明治末期ならではの恋模様

【約1400字/3.5分で読めます】

愛されようとして愛を得ない
複雑な愛の心理を描く私が読んだ角川文庫版の裏表紙にある解説には、このような文句が並んでいました。

ここだけ読むと、恋愛小説のような印象を抱かれるかもしれません。

しかし、本作は恋愛小説というほど、恋愛を中心に描かれた作品ではなく(もちろん大きな柱ではあるが)、地方から上京した青年がさまざまな人たちと出会い、成長していく青春小説

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書籍レビュー『認知症の人の心の中はどうなっているのか?』佐藤眞一(2018)他人の心をおもんばかる

書籍レビュー『認知症の人の心の中はどうなっているのか?』佐藤眞一(2018)他人の心をおもんばかる

【約1700字/4.5分で読めます】

みなさんの周りには認知症の方がいませんか?私は若い頃、こういうことがまったく頭に浮かびませんでした。

身内の高齢者のほとんどがそういう状態にならずに亡くなったので、身近に感じなかったんですよね。

しかし、近年、そういうものが身近になってきました。

私の親もまだ大丈夫ですが、いつそうなるともわかりません。

そして、自分自身だってどうなるかはわからないん

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書籍レビュー『一万円選書 北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語』岩田徹(2021)本をこよなく愛す店主が選ぶあなただけの本

書籍レビュー『一万円選書 北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語』岩田徹(2021)本をこよなく愛す店主が選ぶあなただけの本

【約900字/2.5分で読めます】

著者は北海道の「いわた書店」の店主店主の岩田徹氏は、'90年に親からお店を引き継ぎ、出版界の不況の荒波を乗り越えました。

こう書くと、簡単に聞こえますが、本書でも書かれているように、その経営は苦しいもので、何度、店を畳もうと思ったかわからないほどだったそうです。

そんな中、学生時代の先輩から舞い込んだ「この1万円で適当に本を見繕ってくれ」という依頼がヒント

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