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書籍レビュー

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2024年4月の記事一覧

書籍レビュー『ディズニーとチャップリン』大野裕之(2021)ハリウッドが生んだ二人の天才の生い立ち

書籍レビュー『ディズニーとチャップリン』大野裕之(2021)ハリウッドが生んだ二人の天才の生い立ち


ミッキーマウスに花束を「ウォルト・ディズニーは
 チャップリンの影響を受けていた」
こんな内容と、

表紙にあるチャップリンが
ミッキーに花を渡すイラスト、

もうこれだけで「読もう!」
と思いました。

チャップリン、ミッキーマウス
いずれも子どもの時に
作品の中で観たことのある
キャラクターではありますが、

この二人に共通点があったとは、
まったく気がつきませんでした。

時代的に重なる部

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書籍レビュー『樽とタタン』中島京子(2018)古い記憶は脚色されるリアリティー

書籍レビュー『樽とタタン』中島京子(2018)古い記憶は脚色されるリアリティー


たまたま手にした本を読んでみた年末年始にブックオフで
「本おみくじ」
というものがあり、
買ってみました。

箱に1冊の本が入っていて、
中身はわかりません。

私が買った箱の中から
出てきたのがこの一冊でした。

まったく知らない作家さんですし、
たぶん、こんな機会でもなければ、
手に取ることもなかった本です。

しかし、これがおもしろかったので、
紹介させてください。

本作の主人公は
小学

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書籍レビュー『1984』ジョージ・オーウェル(1949)「考えること」を他人に預けてはいけない

書籍レビュー『1984』ジョージ・オーウェル(1949)「考えること」を他人に預けてはいけない


70年以上前に描かれた
超管理社会数々の作品に影響を与えた
有名な作品です。

ずいぶん前から気になっていて、
ようやく読むことができました。

物語の舞台はタイトルのとおり
「1984年」、

世界は「ビッグブラザー」
と呼ばれる総統が統治する
超管理社会となっています。

「テレスクリーン」という
送受信機によって、
市民の生活は常に監視され、

少しでも政府に反するような
言動は許されませ

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書籍レビュー『偽善エコロジー』武田邦彦(2008)環境問題にかこつけてウソがまかり通る社会

書籍レビュー『偽善エコロジー』武田邦彦(2008)環境問題にかこつけてウソがまかり通る社会


信頼できる科学者の言葉とは著者の武田邦彦氏は工学者で、
『ホンマでっか!?TV』などの
テレビ番組にも出演されている
有名な方です。

私自身、これまでにも
環境問題に興味を持って、
著者の本をいくつか
読んだことがありました。

また、武田邦彦氏といえば、
YouTube の配信なども
積極的にやっていたので、

そちらの方も一時期、
よく観ていたものです。

武田氏が科学者として
信頼できる

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書籍レビュー『落語と私』桂米朝(1975)落語の奥深さを知る

書籍レビュー『落語と私』桂米朝(1975)落語の奥深さを知る


中高生向けに書かれた
落語の入門書桂米朝(3代目)は、
私が敬愛する落語家でした。

戦後、没落しかかっていた
上方落語(関西)を
復興した功労者の一人で、

人間国宝にまでなった人です。

落語の世界では
「米朝にはじまり米朝に終わる」
という言葉があるくらい、

初心者から熟練者まで
惹きつける落語をする方で、

私にいたっては、
この人の落語が好き過ぎて、
他の人の落語をほとんど
聴いたこ

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書籍レビュー『薬剤師は薬を飲まない』宇田川久美子(2013)薬に頼らなくてもいいように、自然治癒力を高める

書籍レビュー『薬剤師は薬を飲まない』宇田川久美子(2013)薬に頼らなくてもいいように、自然治癒力を高める


薬を使わない薬剤師薬剤師の方が書いた本です。

薬剤師といっても、
著者は「薬を使わない薬剤師」
なのです。

著者は若い頃に、
身内が病気で亡くなっており、
学生の頃から薬剤師を
目指していました。

病気で苦しむ人を救うためです。

そして薬剤師になったのですが、
そこで一つの違和感を
持ったそうです。

「このお薬とは一生の
 付き合いになりますから、
 気長に続けていきましょうね」

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