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二月の制作

陽射しが暖かくて空気の冷たい二月
この時期になると進級制作と卒業制作をしていた。
今日もあの日々に似た気候で、相も変わらず手を動かしている。つくるものは変わってしまった。


前日はほぼ徹夜で仕上げの作業
栄養ドリンクとシュークリームの糖分で寝不足をねじ伏せる
朝6時に家を出る
電車の乗り継ぎが苦手なので少し遠い駅で降りる
道具と作品の入った20kgのスーツケースをガタガタのコンクリートに15分滑らす
7時着、まだスタジオが空いていないので近所のセブンイレブンで一服
7時15分、カメラマンと師匠が到着した連絡を受け引き返す
自分の作品撮り時間までひたすら後輩にアドバイスをしたり手を貸す
スタジオのでっかい背景紙の交換(めちゃくちゃ重たい)
現場入りしたモデルの案内、デカさに驚く(189cmだった)
ヘラヘラしながらできる限りのテキパキで作業をこなす、たまに怒鳴られる

これを二日間やる。自分の番がない日は最後の二行以外の雑用と師匠のパシりをする。
師匠に指定された弁当屋さんの場所が分からなくて迷った時は泣きそうになった。わたしは地図をみるのも苦手だ。

無事に撮影が終わったら師匠、数人のクラスメイト、恐れ知らずの後輩、カメラマンと打ち上げに行く。
学生では手の届かないような個室ダイニングが一次会、二次会は我々の代で消した。
一次会と呼びながら二次に繋がらないよう工夫するのは大変だった。
我々の卒業後は二次会が復活したらしい。後輩に恐れなどない。

カメラマンの娘さんと仲良くなるためだけにsnowのアプリを入れた。
キラキラな写真は女児ウケがいいので何枚も2ショットを撮った。今も数枚がフォルダに残っている。
彼女はネイル屋さんごっこがお気に入りで、わたしの爪をうっとりと眺めては自分が塗った設定で遊んでいたね。

あと会計直後の師匠を取り囲んでお礼を言うのが代々の掟だったけど、体育会系すぎるし、あそこってまだ店内だし、なんかもっとスマートな感じでよかったろ。あほだなあ


昨日のことみたいって多分こういうのだろうね。
これから先も二月になれば思い出すんだよ。


進級制作と卒業制作はもう一度やりたい。もうどこにも進級しないから卒業もできないね。

どんな実習よりも現場よりも楽しかった。
社会人になってフリーで入る現場よりも緊張したけれど。


思い出の箇条書きをここに残します。
あの時の胸の内も、言語化できれば残したいね。近いうちに


卒業おめでとう


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