【壱岐新報2024.6.7】郷ノ浦町へき地保育所の見直しと検討を求め、市民団体と市長が意見交換
郷ノ浦町の柳田、志原へき地保育所の存続と十分な住民説明を求める市民団体、へき地保育所の存続を望む会(以下、望む会)は先月30日、市役所郷ノ浦庁舎で篠原一生市長、いきいろ子ども未来課職員と面会し意見を交わした。望む会の共同代表、頴川加奈江さん(35)と田中愛妃さん(33)は、同日付までに集めた署名約500筆を手に「閉所についての市の説明は限定的。市民への十分な周知ではない。また、市と説明を受けた保護者との認識が異なる」などとし、①へき地保育所閉所の見直しと存続②市民との質疑応答のある説明会の実施③子ども子育て計画の見直しの3つの要望を求めた。
市は「最新の答申あり」を主張
市が閉所の根拠に掲げる最新の答申、市民へ非公開だった可能性あり
市民団体「一度、立ち止まって検討を」
望む会の主張は、「会の活動が、認定こども園の設立を阻止すると勘違いされているが、そうではない」と前置きし、「郷ノ浦町の認定こども園ができるならばそれに沿う形で考えてはいたが、同園が中止になり、現在まで具体的な計画が進んでいない。その中で、私達は子どもをどこに入園すればいいか、選択肢が減っているという事実があることを知ってもらい、検討いただきたい」と述べ、現状や問題点などをまとめた要望書を篠原市長に提出した。
活動の中でわかった疑問として、「今も継続して進めているへき地保育所閉所を見て、何か方針が違うのではないかと思い、市議約10人に相談した。ある市議は市が保護者説明会を開き了承を得たという。別の市議は賛否の意思表示はしていないという。市議の間でも食い違いが起きている。保護者説明会でも、自分たちの意思表示ができるような形ではなかった」と付け加えた。
要望を受けた篠原市長は「これまでの経緯に目を通し感じたことだが、認定こども園建設中止後の2022年6月辺りから話が二転三転し、わかりにくくなっている印象を受けた。ボタンのかけ違いやズレがあったように思う。今回、担当課からの説明を受け、現在の市の方針は間違ってはいなかったとも思う」と見解を述べた。
篠原市長は、へき地保育所閉所の全国的な流れや、県内では対馬市に3園のみ残る実情などを鑑み、「今後は無くなっていくのが大きな方針ではないか」と話した。続けて「本市は、市民全体で子どもたちを保育することを基本方針としている」と付け加えた。
市は、「空いている保育所や幼稚園があるから、そちらに通うようにしてもらいたい」との考えを見せるが、フルタイムで働く親に幼稚園を選択することは難しい。一部保護者からは、「他町の保育所に通わせるような提案もあるが、住居と職場、保育所がすべて他町になることが考えられ、現実的ではない」との声もある。望む会は「何がなんでも閉所と決めつけるのではなく、認定こども園の計画がない今、一度立ち止まって検討する必要があるのでは」と話し、柳田、志原保育所の必要性を訴えている。
現在、本市の保育所は定員796人、うち563人の園児が通い、定員割れにある。一方で、武生水保育所は定員130人に対し、定員オーバーが続いている。
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