【壱岐新報2022.1.21】長崎地裁で入札指名外しの民事裁判判決。約6年の争いに終止符
長崎地方裁判所で18日、平成28年4月の市長選に端を発する入札指名外しの民事裁判で裁判長は、壱岐市に対し「299万4956円の損害賠償支払い」の判決を言い渡した。この時の市長選で対立候補者の応援をした(株)壱岐産業の眞弓倉夫社長(当時)は、白川市長から「信頼を損なった」などを理由に入札指名回避の措置を受け、職権濫用などの理由で白川市長と市に対して訴訟を起こした。刑事訴訟を経て民事訴訟判決までに約6年が経ち、今後、控訴がなければ「入札指名外し裁判」はこれで終焉となる。
市に損害賠償支払いの判決下る
2019(平成31)年2月に始まった民事訴訟は、昨年10月5日に白川市長と眞弓氏両氏へのすべての尋問を終え結審した。
白川市長側弁護士による主尋問で白川市長は「信頼を損なった」以外に、新たに「誹謗中傷を受けた」「同社の経営に不安があった」などの理由も指名回避につながったと述べた。
新たな回避理由の2点は、先に争われた刑事訴訟では触れられていない。刑事訴訟は平成30年6月、地検が「起訴に至るまでの証拠が不十分」とし不起訴となった。
白川市長が新たな理由を挙げた背景には、昨年10月5日の白川市長側の証人尋問で2人の証人が「眞弓社長は白川市長について、『芦辺町中心の施策をしている。このままでは芦辺町以外は沈没する』など、誹謗中傷の発言をしていた」「経営悪化により壱岐産業が事業の譲渡をしたがっている。従業員の受け入れ先を探しているなど耳にした。その後、市長に伝えた」などが主な理由。このことを根拠に白川市長は、壱岐産業の経営に不安を感じるようになったと発言した。
一方、証人による尋問が人伝であるため、眞弓氏側弁護士は白川市長に対し、「噂話を理由に指名回避をした」と厳しく指摘した。同社の経営不安も、調査やデータの持ち合わせがなく「これも噂話のレベル。被告側(白川市長)がいう内容には、明確な根拠が見当たらない」として弁護士の追及を受けた。
判決後、眞弓氏は「現在の市政の横暴さに一石を投じることができた。市長がまだ町職員時代、共に4町合併を推進してきた私としては、このような市長になり残念でならない。この判決を真摯に受け止めてもらいたい」と長きに渡った争いの判決に、安堵の表情を浮かべた。
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