ワクチンの話をすると不愉快になる理由

「予防接種は打たない方がいいよ。」

「その話、嫌い。」

「なんで?」

「予防接種を勧める人を悪人や詐欺師みたいにみているから。あの人たちは悪いことをしているのではなく、むしろ病気をなくそうとして、いいことをしているんだよ!その人達をそんなふうに見るのって、歪んでるよ!
私たちのことを心配して、私たちの健康のために、頑張ってくれているんだよ。」

「なるほど。あなたは"いいことをしている人"を悪者みたいに言うのはおかしい。と感じるんだね。」

「そりゃそうだよ!」

「じゃあ、いいことって、なに?」

「え、例えば社会のために、世の中の人のために働くこととか?誰かを助けることとか?」

「それがいいことなんだね?
じゃあ、世の中のために働くことがいいことだ、として、そうしていない人はこの世にいるの?」

「どういう意味?」

「人間は皆、その人の価値観において『世の中のためになること』をしている、と思わない?
あなたから見て悪人だとしても、その人の視点では『自分は世の中のためになることをしているんだ。』と考えているはずでしょ。

予防接種をしないほうがいいという人は、あなたから見たら悪人かもしれない。だけど予防接種をしない人から見たら、予防接種を勧める人は悪人に見えている。
おそらく、予防接種をする人は「それが世の中のためになるから。」と考え、予防接種をしない人は「それが世の中のためになるから。」と考えているんだ。」

「そんなの、ありえない!」

「ルビンの盃って知ってる?
同じ絵でも、見る人の見方によって、盃に見えたり、向かい合った人に見えたりする。

試しに、指をぐるぐる時計回りに回してごらん。」

「こう?」

「そう。そのまま回しながら、ゆっくり上にあげて。」

「こう?」

「そう。下から見上げた時、時計回りになってる?」

「逆になってる!」

「そうだよね。じゃあもう一度訊くけど、いいことって、なに?」

「自分が"いいこと"だと思っていること、、、?」

「そう。でも見方によっては?」

「いいことの反対。悪いことになる。」

「その通り。あなたの"いいこと"は、あなたの視点から見た時に"いいこと"なのであって、他の視点から見たら、"いいこと"ではない。

あなたは一つの事実を見るとき、自分の立ち位置から見るだけで、反対側から見ることをしていない。いいことは、反対側から見たら悪いことになる。どこから見ても"いいこと"、というものは、この世に存在しない。結論としては、"いいこと"などどこにもない。あると思っているのは、事実の一面だけしか見ていないから。それへファンタジーだ。現実にはいいも悪いもない。ただ事実があるだけ。」


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