見出し画像

自然写真家より・自然写真を始めたい方へ(No.4)

自然写真は「好き」と「対話」

僕は、子供のころに持っていた捕虫網や釣り竿が、カメラに変わっただけの写真家だと思っています。
子供のころは、ある虫が捕れる場所や、ある魚が捕れる場所などは、自分だけの秘密にしておき、生き物に対し、1対1の勝負を挑むことが大好きでした。
写真の場合、その「勝負」が「対話」になり、生き物たちに「ちょっと右向いてちょうだい」「そのままじっとしていて」「なんで後ろ向くかな・・」などと、心の声をかけながら、撮影を進めていくことになります。
そんな時、こちらの心を察したように生き物たちが、モデルを務めてくれたりすると、それがとてもうれしくて、また野山に出かけていくわけです。

出会いは一期一会

その日出会った生き物が、その日の被写体になります。その生き物や植物がいつでも普通に見られる被写体であっても、その日、その被写体にビビっとくるものがあれば、それを切り取ります。
今は、SNSで生き物の出現情報などが溢れていますが、そのような情報にはほとんど興味がなく、どんな珍しい被写体であっても、撮影意欲が湧くことがありません。
その日、その時、その場所で・・出会った時の「ビビっと」感が、撮影心の起爆剤になります。
更に、その被写体と相性が合えば、その生態を時間をかけて丁寧に深堀していくことになるわけです。

ぜんぶマニュアル

僕が、カメラもレンズも、すべてマニュアルで撮影していることは、前回までに、お話しさせていただきましたが、これが正しいということではありません。
これが僕にとっては、気持ちよく、納得のいく写真が撮れる撮影方法だからです。連写をしないのも、自分のリズムに合わないからで、「撮った」という手ごたえが感じられないからだと思います。
うまく言えませんが、釣り堀りでイワナを釣ることと、渓流でイワナを釣ることの違いのようなものかもしれません。釣った魚はどっちもイワナですが、その過程の面白さが違うように思います。
連写はメカが撮っていて、ワンショットは人が撮っているといった感じでしょうか・・
とにかく、自分が納得のいく形で被写体と向かい合い、納得のいく方法で写真を撮ってきたことが、40年間続けられてきた秘訣のように思っています。
これから、自然写真をはじめる皆さんも、自分自身が楽しく撮影できる方法を見つけられれば、長く続けることができるでしょうし、レベルも上がると思います。

機材はこわれるまで使う

僕は、フィルムカメラからデジカメの移行も、かなり遅れ気味でした
時代がデジタル作品を要求してきていましたが、僕の中で「自然に食べさせてもらっている」という自覚があり、「使えるものを捨てる」ということにかなりの抵抗感がありました。
ちまたでは、次々に新しいカメラやレンズが誕生しているようですが、僕は2014年に購入したキャノン6Dを2台、修理しながら使い続けています。
100mmマクロ2本も、2度ほど修理に出して、それを使っています。
それでも、そのカメラたちが、しっかり稼いでくれるので、何の問題もありません。
自然写真は機材ではなく、自然に向き合う姿勢だと思います。
自然に真摯に向き合えば、自然は必ず応えてくれます。


いいなと思ったら応援しよう!