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犬のがん治療最前線「抗体薬」

寒波に大雪、、、皆様、ちゃんと雪だるま作って遊びましたでしょうか?
いいや、こんな日には年寄りは寒い部屋にこもってこたつでぬくぬく、ブログびより。。。近くを通る幼稚園児が雪だるまを作ってるのをみて、若かりし頃を回想いたしました。はい。
では、本日もよろしくお願いいたします。
ホットな話題をもってきました。

犬も飼育環境や獣医療の質の向上に伴い、高齢化が進んでいます。
ヒトもそうですが、実は犬でも中年齢くらいからがんに罹患するコがだんだんと増え、ご高齢の犬では、死因の約3割は悪性腫瘍とされています。
今回は、獣医療ではまだ研究段階の、でもとても期待感の持てる最新の治療法に関する知見を、飼い主様向けにかみ砕いて書いていきます。
最後までお付き合いいただければ幸いです。

まず、犬のがん治療について

犬のがん治療は現在、外科療法、放射線療法、化学療法(抗癌剤)の3つの大きな治療法が主に行われています。それぞれのがんの種類によってぴったりの治療法を選び、場合によってはいくつかを併用したりして、がんをやっつけます。これらの治療によって完治するがんもある一方、完治せず短期間に死に至るようながんも存在します。がんに苦しむコたちを少しでも救うために、今世界中で全く新しい薬が開発されています。その一つに、抗体薬があります。

がん治療 第4の選択肢

この抗体薬、実はヒト医療では既に多くの種類が医薬品として承認されており、病院で使われています。適応できるがんの種類も増えています。抗体薬は、ヒトでは既に、第4の選択肢として、がん治療の前線で戦っているのです。

どうぶつでは?

どうぶつでは、製品化されていない実験段階の薬しかありません。承認されていないので、出回ることはなく、動物病院では使えません。。。
もちろん、研究結果は出てきていますので、近い将来に実用化が叶うのではないかと思います。
日本では北海道大学と山口大学で、それぞれが独自の犬用抗体薬を開発し、大学病院で臨床試験を行いました。臨床試験に参加してくださった患者さんたちに、作成した抗体薬を投与し、その結果を公表したのです。

犬の口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)に対する効果が実証


北海道大学と山口大学は、両学とも口腔内メラノーマに対象を絞って、抗体薬の効果を検証しました。
その結果、北海道大学の研究では、一部の犬で肺転移巣を含む腫瘍の縮小が認められました。また、生存期間を延長するという結果も得られました。
一方、山口大学の研究では、腫瘍がすでに進行した状態になってしまっている症例において、腫瘍の縮小を認め、中には腫瘍が完全に消失するケースも認めたそうです。

その他の腫瘍への適応は?

前述の研究は、「犬の口腔内に発生したメラノーマ」が対象だったので、他のたくさんのがんへの犬用抗体薬の効果はまだ分かっていません。
ただ、北海道大学が公表したデータには、興味深い内容が含まれていました。
同大学が開発した犬用抗体薬(イヌキメラ抗PD-L1抗体 c4G12)は、腫瘍細胞の表面に存在するPD-L1という分子に結合して抗腫瘍効果を発揮します。そこで、同大学は、さまざまな犬の悪性腫瘍(がん)において、PD-L1が発現しているかどうかを調べました。発現していれば、効く可能性がありますから、事前に調べるんですね。
その結果、なんと扁平上皮がん、鼻腔内線がん、移行上皮がんを含む各種の犬悪性腫瘍において、効率にPD-L1の発現が認められたそうです。
今後、対象疾患を広げたさらなる研究が期待されますね。

おわりに

近い将来、いつの間にか、動物でも抗体薬が普通に使われるようになると思います。きっと今よりもがんのコが快適に長生きできるようになるでしょう。今後も獣医学の進歩から眼を離せません。
ではまた。



注)今回の記事は、2大学から出版された最新の論文を参考にしています。
全文のリンク↓
PD-L1 immunohistochemistry for canine cancers and clinical benefit of anti-PD-L1 antibody in dogs with pulmonary metastatic oral malignant melanoma - PMC (nih.gov)
A pilot clinical study of the therapeutic antibody against canine PD-1 for advanced spontaneous cancers in dogs - PubMed (nih.gov)


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