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『ふゆちゃん』~豊齢学園修了(卒業)文集から~
過去にせんだい豊齢学園修了文集 『於毛登(おもと)』に掲載された文章をご紹介します。豊齢学園生、修了生以外の方にも読んでいただきたい内容です。
ふゆちゃん
せんだい豊齢学園修了生 Y.Nさん
その頃の私はいわゆる「空の巣症候群」だったのでしょう。
子供達もそれぞれの道に進み出した二十年余り前のことです。大好きだった趣味のフォークダンスも気が乗らず、何をしたいのかも分からない。
その頃友人の一人に
「Nさん、猫を飼いなさい」と言った人がいました。
私「???」
「猫はいいわよ~~♥♥」
私は子供の頃に何匹かの猫と出会い、飼っていた事を思い出しました。家族の中で私に一番なついていたように思います。
ナルホド!即実行です。
「ふゆちゃん」との出会いはペットショップでした。フサフサとした毛並に薄いグリーンの大きな瞳。男の子です。私は一目惚れ。
私が風邪などで寝込むと私のベッドから離れません。時折エサを食べに行き、又すぐに戻って来ます。夫や娘に「ふゆちゃん看病してるね」と言われてしまいました。
ある時私が母の看病のために二ケ月程留守にした事がありました。久しぶりに帰宅した私は、いつもなら玄関で待っていてくれるふゆちゃんがいない事を不思議に思いながら「ふゆちゃん!ふゆちゃん!……」と十数回も呼んだでしょうか。そこにふゆちゃんが不思議そうな様子でそうっと近づいてきました。
私のことをすっかりあきらめていたのでしょう。この事を思い出すと今でも私は涙があふれてしまいます。
八月の下旬、機会があって泉ヶ岳の麓にある猫サロン(猫の保護施設)に立ち寄りました。個人で私費運営されていて、現在六十匹の猫達が保護されているとの事でした。時折訪れる人も猫を引き取って欲しいという人ばかり。現在は引き取る事ができない状況です、とのこと。
人間の寿命に比べたら何分の一かのその命。
心を決めて飼い始めたなら何とか最後迄猫達との生活を楽しんで欲しい。人間の勝手に心が痛みました。
今でも私の夢は猫に囲まれた(と言ってもせいぜい三~四匹位でしょうか?!)暮らしをする事です。
おわり
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