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『音楽ボランティア』~豊齢学園修了(卒業)文集から~
過去にせんだい豊齢学園修了文集 『於毛登(おもと)』に掲載された文章をご紹介します。豊齢学園生、修了生以外の方にも読んでいただきたい内容です。
音楽ボランティア
せんだい豊齢学園修了生 I.Kさん
秋、色鮮やかな木々が私たちを迎え入れてくれる。
ここには老人施設があり二度目の演奏活動の始まりです。入居している方に「覚えているよ」と気さくに声をかけていただき嬉しい限りです。
短めの挨拶の後、予め用意していた歌詞カードを配り童謡から演奏、四季折々の色々なジャンルの曲を伴奏します。中には立ち上がって、手足を大きく振りながらのパフォーマンス、また小さくリズムを踏む方や目を閉じてジッと動かない方、大きな声で歌ってくれる方、おもいおもいに自由に自己表現します。
歌はストレス発散にもなり、リラックス効果も認められていて、まるでセピア色の懐かしい映像がいっぱいに広がり、現在と過去が交錯する場面のひとつでもあると思います。
また同じ歌でも想いはそれぞれ様々な事情もあって、ボランティアなど訪問の夜は思い入れが強すぎて興奮したり、落ち込んだりしてなかなか寝付く事が大変になる入居者の方もいると聞きます。施設によってはNGの曲もあります。
伴奏が無事終わり「楽しかった」「また来てね」の「お・ま・け」の言葉に気を良くして皆さんと握手しながら次回に向けてのリクエストの歌を尋ねます。
思い出したのは、以前母が入院した時の事、言語聴覚士の先生との掛け合いで、歌っていた歌でした。
♪「あなた」「なあんだい」空は青空 二人は若い
母が良く歌っていた女学校の唱歌以外で初めて聴く歌でしたが、とても明るく弾んだ様子でした。
また父は童謡が好きで、時にはマンドリンで「赤とんぼ」「叱られて」「花嫁人形」などを弾いてくれました。どちらかといえば叙情的な歌が多かったように思います。
今になっては聞くすべもありませんが、いったい父や母の心の中にはどのような映像が浮かんでいたのでしょうか……。
花一輪
手を振る笑顔に逢いたくて
探しもとめる母の面影
おわり
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