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ノック13本目:グローバルコミュニケーション100本ノック ~グローバル人材育成への第一歩~

<プログラム概要>
グローバルビジネス競争の時代に必要となる異文化コミュニケーションの基本スキルを学ぶ研修。アルーのグローバル人材育成プログラムの第一弾

グローバルコミュニケーション100本ノック」は、本noteにて取り上げる最後の研修プログラムとなります。

グローバル人材育成」というテーマに私が興味を持ったのは2009年11月頃のことでした。この時期は非常に迷っていたタイミングでした。2003年に創業後、試行錯誤を繰り返しながらお客様のご要望にお応えし数多くの研修プログラムを提供してきたアルーでしたが「先が見えない」のがこの時の状況でした。

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すごい開発バイブル


①次の時代のカギとなるテーマを

2008年のリーマンショック以降のお客様の教育研修予算削減は大きなものでした。30年以上微増ながら成長してきた企業研修サービス市場において、稀にみる市場のマイナス成長となりました。

また新卒採用人数を減らすお客様も多く、新入社員研修・若手社員研修を得意とする当社にとっては閉塞感があり「次のテーマ」を探していました。

そうした状況の中、2009年10月に再設定したアルーの新VISION「アジア人材育成№1となる事業創造と人づくりにより継続成長するグローバル企業」に対して私は強いモチベーションを感じていました。そして当社代表落合が夢として掲げたアジア展開という方向性に対しても共感をしていました。

私は決して世の中のアーリーアダプターではありません。むしろ感度が低い方かと考えています。セオリーを重視するタイプです。そんな私でもアルーの可能性を考えた時に、次の市場機会があるのは「グローバル人材育成」というテーマだ、という結論に至りました。

調査をするほど、少なくとも数年以内に、日本企業はグローバル人材育成の本格的な投資を始めるということが想像できました。

そこで私は形になった商品が必要だと考えました。
形(完成したプログラム)がない状態でお客様に提案することはできなくはないが、提案難易度が高く、受注確度も低くなるでしょう。形があれば営業メンバーはお客様に安心して紹介できます。グローバル人材育成について一つでも実績を作ることが大切でした。

このグローバルコミュニケーション100本ノックは、グローバル人材育成に関する実績を作ることを目的としたプログラムでした。開発に取り組んでいた時点では、グローバル人材育成分野においてお客様の期待に応えるサービス形態がどのようなものかはまだ見えておりませんでした。

そこで「既存の1日研修の形」に沿った研修プログラムを作り、そこから営業活動を通じて、プロダクトマーケットフィットの方向性を探ろうと考えました。

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もちろん「研修プログラムを創るからには良いものを!」と考えました。
2010年頃において、私個人の7年間の開発の集大成となるプログラムでした。そこで、過去の開発のように苦戦しながら膨大な時間を掛けて創るのではなく、既存の技術の使って短時間でコンパクトにまとまったものを創るという開発コンセプトで進めました。

「グローバルコミュニケーション100本ノック」というタイトルは、開発の前から決めていました。シンプルかつキャッチー、次の時代を狙ったテーマ選定に相応しいタイトルだと考えたためです。


②ラーニングポイント調査:全体像と重要なポイントとユニークな事例

では、その中身となるラーニングポイントは?
ラーニングポイントの理解のために今回取ったアプローチは、専門書籍からの情報整理です。語学以外でグローバルに必要なコミュニケーションとは何か、それを整理する必要がありました。

当時アルーの東京本社があった市ヶ谷の書店に買出しに行ったところ、「グローバルのコミュニケーション」に関するテーマの書籍は意外とありませんでした。

ビジネス書関連にはほとんどありません。語学関連を調べたところ、こちらもない・・・?概念が整理されていない分野だったのでしょうか・・・。

Amazonで調査をすると「異文化コミュニケーション」というテーマが出てきます。関連書籍を5冊ほど購入しましたが、ビジネス書というより学術専門書に分類されるテーマでした。だから市ヶ谷の書店で見た棚にはなかったのかと思いました。

ちなみに私は参考書籍を探す際に、WEBでいきなり購入するのではなく、無駄は多いかもしれませんが書店に実際に行ってみるようにしています。今回はWEBの方が当たりましたが、実際に自分の目で見ることで得られる情報は多いためです。

書店に行ったことで、このテーマについて分かったことは、ビジネス書というレベルにまだ落ちていない「新しいテーマ」だということでした。手垢があまりついておらずチャンスがあるのではないかと考えました。

私は手元に届いた5冊の専門書の目次をまず全てWORDに書き写しました。良い書籍がある場合は、ラーニングポイントの全体像を整理するにはこれが一番早い方法です。

1冊目は目次を書き写したら、中身の要点を書き写していく。2冊目に入ると1冊目で出てきたポイントがまた出てきます。重複する部分は重要な部分を見つけるヒントになります。こうやって5冊程の目次を書き写していくと、ある程度網羅的に情報を抑えながら、重要ポイントが明確になっていきます。ここまで進めばラーニングポイントを絞り込みやすくなります。

ラーニングポイント調査における要点は、
①全体像
②重要なポイント
③ユニークな事例
の3種類を把握することです。


③ラーニングポイントの絞込み

しかし、グローバルコミュニケーション100本ノック開発では、ラーニングポイント絞込みに苦戦をしました。異文化理解というテーマの学び方には大きく2つの方向性があったためです。

一つは文化の違いを知識として具体的に学んでいく方法です。もう一つは知識ではなく文化の違いに対するファンダメンタルな付き合い方を学んでいく方法です。どちらにニーズがあるのか、という迷いがありました。どちらを取るかによってラーニングポイントの絞込みの結果が異なってきます。

ラーニングポイントの絞込みは、研修を効果的なもの、かつ受講者の記憶に残るものにするために大きな影響を与えるポイントです。私はこの絞込みこそがKey Success Factorだと考えています。重要なコンテンツについては必ず落合社長と議論をした上で決定をするという段取りを欠かさないようにしています。

議論の結果、文化の違いに対する付き合い方を身につける方向性になりました。大きな方向性が決まったことで自然と、具体的な4つのラーニングポイントに絞られてきました。

4つのラーニングポイントは「留保」「共感」「論理」「主張」、異文化を受容すると同時に明快かつ積極的に主張をする日本のビジネスパーソンを育成するための研修というコンセプトとなりました。

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WHAT→WHY→HOWの解説構造

残りはこの4つのラーニングポイントを学ぶための演習作りでした。グローバルコミュニケーション100本ノックのラーニングポイントは「社会人の基本100本ノック」の構成に近いものとなりました。

私のアプローチは、演習問題より先に解説を作り上げてしまうということです。どのような演習問題であったとしてもその問題で学ぶラーニングポイントは明確です。

解説の構造はWHAT→WHY→HOWを意識して作ります。

一つのラーニングポイントに対して、WHAT→WHY→HOWを明確にすると、理解しやすい解説を作ることができるのです。
WHAT:ラーニングポイントの定義
WHY:ラーニングポイントはなぜビジネスにおいて必要なのか?
HOW:ラーニングポイントを実践する際の具体的なポイントは何か?

HOWについては「メインHOW」と「サブHOW」に更に分かれます。
 メインHOWとは当該解説に取り扱う最も重要な具体的実践方法。
 サブHOWとはメインHOW以外の知っておくとよいノウハウ・知識など。

こうして演習問題よりも先に、全ての演習問題の解説だけを先に作りました。ここで言う解説とは、ラーニングポイントに関する解説です。演習問題の回答を導くための解説はもちろん問題がないと創れないのでそれは後回しとしました。

他業務とパラレルで動いていたこともあり多少時間が掛かりましたが、2010年5月にグローバルコミュニケーション100本ノックは初期版を完成させることができました。アルーにとってグローバル人材育成に向けた記念すべき第一のプログラムとなりました。


⑤「第2の事業の柱グローバル人材育成」の先駆けに

グローバルコミュニケーション100本ノックは、その後2011年以降の新入社員導入研修等で多くのお客様に導入されました。私たちの想定通り、グローバル人材育成は多くの日本企業にとって重要なテーマとなりました。日本人社員だけでなく外国籍社員の方を含めて、本研修が導入されていきました。

また本プログラムは、日本語のみならず、英語・中国語にも翻訳されて多くのお客様にて実施をさせていただきました。

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そして、このプログラムが出来たことがきっかけとなり、当社の次の事業展開に繋がりました。それは日本国内の教室で研修を行うのではなく、海外に実地派遣を行い、現地にて長期間(数週間~2か月程)の実践型研修を行うものでした。

海外派遣型研修」の最初の受注のきっかけとなったのは、2010年新卒入社のKさん(2015年まで在籍。現在は幼児教育分野でご活躍されています)がグローバルコミュニケーション100本ノックの研修の営業活動をお客様にしていた際に、「グローバル人材育成と言っても国内で研修を実施するのではなく、海外で実体験を積ませたいのですが、アルーさんでできますか?」というニーズを拾っていただいたことがきっかけでした。

「海外派遣型研修」はその後アルーの第2の事業の柱となりました。グローバルコミュニケーション100本ノックが研修プログラムとして形になっているからこそ、繋がった事業機会でした。
(※2021年追記:現在はオンライン型海外派遣研修グローバルチャレンジプログラムという形で、海外渡航が無い形でもサービス提供を行っています)

グローバルチャレンジプログラム特徴

その後、アルーは海外派遣研修を、中国、インド、シンガポール、インドネシア、ベトナム、タイ等アジア諸国を中心して、サービス展開を行っていきました。
2013年からは、語学分野にも進出。フィリピンに拠点と作り、アルーの語学「ALUGO」というブランドでサービス展開を行っています。

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グローバルコミュニケーション100本ノック 開発における教訓


DNA61:次の時代を狙ったテーマ選定をする
グローバル人材育成という次の潮流を捉えるためのテーマ選定をした


DNA62:ラーニングポイントの特定には複数の専門書の目次を写経する
全体像と重要なポイントとユニークな事例を拾う


DNA63:ラーニングポイント絞込みは役員必須参加で検討会議を実施する
落合社長と議論を重ねて、絞込みの方針を立てた


DNA64:演習問題より先に解説を作り上げる。解説の構造はWHAT→WHY→HOWにする

・WHAT:ラーニングポイントの定義
・WHY:ラーニングポイントはなぜビジネスにおいて必要なのか?
・HOW:ラーニングポイントを実践する際の具体的なポイントは何か?


DNA65:コンテンツを創り上げることで、営業メンバーがお客様に紹介しやすくなる
グローバル人材育成というテーマで営業するために、プログラムを開発した
プログラムがあったことで営業メンバーがアポを取れ、その後の事業機会につながった

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よろしければ、続きの記事もご覧ください!

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本noteでは別途アルーの創業からの歴史をまとめた「スタートアップ企業としての営業組織づくりノウハウ」を公開しています。ぜひご覧ください。

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