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アップサイクルとメンテナンスで、廃棄を限りなくゼロへ

IKEUCHI ORGANIC代表の池内です。

IKEUCHI ORGANICでは「最大限の安全と最小限の環境負荷」という企業理念のもと、ものづくりにおいて生じる廃棄をゼロに近づけることを大切にしてきました。

こうした活動の延長線上として、“アップサイクル“の取り組みを今年からはじめています。先日投稿した『IKEUCHI ORGANICが考える“アップサイクル”とは?』では、どういう考えのもと、アップサイクルに取り組んでいるのかを詳しく書かせていただきました。

そして、この度、アップサイクル商品の第二弾としてアップサイクル コンパクトバスタオルを発売します。ホワイトとグレーのバスタオル2枚セットです。アップサイクルの商品ですので、限定約40セットのみの販売となります。

今回のnoteでは、こちらの商品の発売に至った経緯と、IKEUCHI ORGANICの廃棄ゼロに向けた取り組みについて改めて紹介していきます。


個別対応により誕生した、特殊仕様のバスタオル

ご紹介した『アップサイクル コンパクトバスタオル』ですが、その名の通り、一般的な弊社のバスタオルと比べてコンパクトなサイズとなっています。

IKEUCH ORGANICの定番品のバスタオルの多くは「72 x 135〜150 cm」です。ですが、こちらのコンパクトバスタオルは「60 x 120 cm」。現在、このサイズで販売しているのは『ストレイツ220』と『オーガニックスパタオル』のバスタオルのみです。

また、肌触りとしては、太めの糸を使い、しっとりとした柔らかな風合いが特徴です。定番商品の中では『オーガニック316』が一番近い肌触りとなっています。ざっくり織られてパイルはやや短めに設計されているので、316シリーズと比べると、薄くて乾きやすいタオルとなっています。

こちらのコンパクトバスタオルですが、私たちのお店で販売する商品としてではなく、法人のお客様からのご依頼で企画・製造を開始したものとなります。

IKEUCHI ORGANICでは、宿泊施設、飲食店、美容室、スポーツ施設、温浴施設など、様々な法人のお客様からご注文をいただいており、オリジナルタオルの企画・製造も承っております。

企業やブランドのロゴを刺繍で入れるだけでなく、注文枚数が多い場合は、個別のカスタマイズ対応も受け付けています。オリジナルサイズのご用意や、既存の品番をもとにタオル生地の設計の調整も行っております。

今回のコンパクトバスタオルも、こうしたカスタマイズ対応により誕生したもので、あくまでお客様に納品するために製造したものです。特殊仕様となりますので、IKEUCHI ORGANICの商品として店頭に並べる予定はありませんでした。

では、なぜアップサイクル商品として送り出すことになったのか。

それは、タオル生地を織りあげた際、完成したタオル生地が計算以上に多くなり、注文数を超える枚数が生まれてしまったためです。ここにタオルにおける、ものづくりの難しさがあります。


天然素材ゆえに生まれる計算の誤差

注文数を超える枚数が生まれてしまう理由。それは、オーガニックコットンという天然素材を扱っているからという答えに尽きます。

前回のnoteでも触れましたが、コットンは天然素材であるため、均一な長さや太さではありません。そのため、綿密な計算や経験に基づいて使用する糸の量を設定しても、若干の誤差が生じることがあります。

また、織機で生地を織る際にも、系のテンションのかかり具合で、仕上がる生地の長さにズレが生じることがあります。

経糸と横糸が交差して生地を形成していくわけですが、タオルの織機の場合、一枚のタオル生地を織り上げるまでに横糸を約3,000回ほど入れます。マシーンが横糸を通す際にほんの僅かなズレが生まれることがあり、その積み重ねによって、仕上がった生地の長さが計算よりも長くなったり短くなったり、重量に誤差が出たりすることがあるのです。

(▲)製織の作業風景

機械を組み立てていくような製造であれば、計算通りにものづくりを進めることができるのかもしれません。ですが、私たちが扱っているのは天然素材な上に、組み立てではなく、糸からタオルへの織。ですので、どんなに経験値を重ねても、完全にコントロールしきることはできません。

誤差を極力小さく抑えるための努力を続けていますが、様々な箇所で計算違いが起こり、大きなズレが生じてしまうことが稀にあります。そして、今回のケースが、まさにそれだったのです。

余剰に生産された枚数としては約80枚。さて、どうしようと考えていたところ、アップサイクルのアイデアに辿り着きました。

私たちがアップサイクルにおいて大切にしていること。それは、アップサイクルの対象先となる残糸や余剰品がもっている個性を活かしながら、アップサイクルならではの品質や楽しみ方をお客様に届けていくことです。

IKEUCH ORGANICのオーガニック100%の定番品で、60cmのコンパクトサイズのバスタオルは『オーガニックスパタオル』しかありません。であれば、新しい選択肢として、定番品の風合いに近いこのタオルで、コンパクトサイズのバスタオルを楽しんでもらうのはどうかと考えました。

もちろん商品として送り出すからには、IKEUCH ORGANICらしい仕上がりにしなければいけません。この企画に向けて染色を行い、弊社商品において人気のカラーであるホワイトとグレーの2色セットを用意しました。

また、価格に関しては、アップサイクル商品として、原材料の部分はほとんど価格に反映させていません。IKEUCH ORGANICのバスタオルセットとしては、極めてリーズナブルな価格となっております。


正規販売対象外品を蘇らせるメンテナンス

また、ものづくりをしていると、どうしても避けられない問題として、生産の過程で少量の汚れがタオルに付いてしまったり、糸のほつれができてしまうことがあります。そうした製品は検品で仕分けられ、いわゆるB品として正規販売対象から外されていきます。

とはいえ、これらのタオルもオーガニックコットンから大切に作られたものですので、そのまま倉庫で眠らせておくわけにはいきません。

ほつれが直せる場合は、本社工場のスタッフが手作業で直したり。汚れの箇所を避けて、ハンカチサイズにカットし、タオルハンカチとして生まれ変わらせたり。場合によっては、改めて染色をし直すこともあります。

そして、タオルメンテナンス事業を自社で立ち上げてからは、少しの汚れであれば自分たちで直すことができるようになりました。

こうしてメンテナンスされたものを「整備品」と名づけ、数ヶ月に一度の頻度でオンラインストアで開催される『蔵出し市』で限定販売しています。

蔵出し市の開催告知はメールマガジンで行っていますので、興味がある方はメルマガ登録をよろしくお願いします。

ものづくりをしていると、どんなに工夫を凝らしても、余剰品や正規販売対象外品をゼロにすることはできません。アップサイクルやメンテナンスを通じて、そうした製品を商品へと変え、お客様のもとに送り出していきます。

タンザニアやインドの大地で真心こめて栽培されたオーガニックコットンを、品質の優れた商品へと変え、お客様の手元に感動と共に届ける。

この使命を胸に、今後とも、ものづくりを突き詰めていきたいと思います。


<編集協力:井手桂司>

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