パドラーが増えれば
今の仕事に転職して7年。身近な人たちにはアスリート時代の話をしているが、取引相手や会議のみ会う人などには自分のバックボーンについては話していない。マーシャルに来て数人には話したが、ほとんどの人は週末ボートで漕いでることは知っていても、僕が元プロのパドラーだった事は知らない。
先日、首都に出張に行く際、こちらに来た時から世話になっているKawaが同じ飛行機で空港で会った時に、マーシャルのパドリング協会がコーチを探していると言う話を聞いた。この話から実は昔プロでやっていた話をし、ネパールやモンゴルにラフティングを教えに行った事があると言うことも話した。Kawaは早速協会の人に連絡をして、非常に興味を持ってもらい、Zoomで打合せすることになった。
来年マーシャルで近隣国が集まるスポーツイベントがあり、アウトリガーカヌーのレースが含まれているとの事。首都にはパドリングクラブがあるらしいが、コーチもいないし、我流で漕いでいる人が数人いるそうだ。僕が住むEbeyeにはカヌーもないし、パドルやライフジャケット も今はないようで、米軍基地があるKwajaleinにあるカヌーを借りられないか探っているとの事。政治家にも協力してもらいまずはクラブの立ち上げのサポートをすることになった。協会の人にはあくまでもボランティアベースでやらせて貰うようにお願いした。ビザ取得の際、ここではお金を稼がないことになっている、何より新しいパドラーが増えることは純粋に嬉しいので、ぜひ手伝わせて欲しいと伝えた。
来年6月の大会に向けて、今は選手も居ない状態と何とものんびりしたスケジュール感だが、これをきっかけにここにパドラーが増えて、そのうちの何人かが海外に出かけ国際的なレースにも参加するようになったら面白いなと夢は膨らむ。何より、こんな綺麗な海に囲まれているのだから、この自然に触れる人が一人でも増えれば、ゴミだらけのこの島も少し変わるのではないかと思う。さらに言えば、温暖化の影響でただでさえ狭い島はどんどん小さくなっている。ここに暮らす人たちの暮らせる土地が海に沈んでいっているのだ。それはここに住む人たちの責任ではなく、大国が大量に排出している温室効果ガスによるものだと思う。だからこそ、ここの人たちがメッセージを出す事は大きな意味があると思っている。それが政治家ではなく、パドラーだったらさらに良いと個人的には思う。
このプロジェクトは僕の人生のミッションとも直接繋がっているので、大事にしていきたいと思う。どこに暮らそうと、パドリングは僕にとって新しい機会や人をつないでくれる。