慶びは太く 【第十五話】
2022年12月12日月曜日。
青山学院大学の道路挟んで向かい、奥のビルの地下にある書店にいた。
品揃えが独特で、あまり見たことのない本がズラリ。
さて、30分後にはニューバランス原宿店に集合だ。
師は、この日3人の靴選びの為だけに、大阪から新幹線で東京に向かう。30kgを超える荷物を携えて。
グリーン車に乗車すると、コンセントがある。足元にはもちろん、若石ローラー。
今日は師にオーソティクスに合う靴を選んでいただくのだ。
この日が来るまでの1ヶ月間は、選んでいただいた靴を履いていた。この靴の感覚はとても良い。これより良い靴があるのだろうか?と思いつつ表参道の並木を下る。
師と会うのは久米島夏合宿が終了して以来。約1ヶ月半ぶりの再会だ。
とても楽しみにしていたが、なぜだか少し緊張もしていた。
早めに到着したので、試しにオーソティクスと色々な靴と合わせてみた。
574や996という品番がある。それはファッションの観点からいうとジャケットからカジュアルまで合わせられる人気の定番モデルだ。それらを試しに履いてみる。
私には合わないだろうとは知っていたが、オーソティクスを装着して歩いてみると、驚いた。
ひ、ひどい・・。同じ26.5cmで同じwidth(幅のこと。今の靴はD)なのに、足元が不安定な感覚に襲われる。歩きながらぐらつく様な感覚があるのだ。
自身の足に合った靴を履かないと、オーソティクスが力を発揮しないことを改めて実感した。
そして、師が店舗に到着した。顔を合わせると嬉しいものである。
早速、様々な靴を提案していただく。
現在私が履いているのは860という品番。以前合わせてもらった際にあまり安定しなかった880を合わせるが、現状の860の方が良い。
他に良い靴はないのだろうか。師が陳列された壁を見て、”これも良いかもしれない”と指差したのはオレンジ色のゴツゴツした靴。聞くとトレッキングラン(トレラン)用の靴らしい。
え、そんなのアリ?
しかし、履いてみると思いの外感覚が良い。履いている860よりも背筋が伸びる様なイメージがある。師に歩行を見てもらうと一言。
”うん、ハムストリングスが伸びている”
とのことだった。私は背筋の伸びに気を取られていたが、確かに太ももの裏が歩きながら伸びて更に使える様になっているイメージがある。
師は私の感じた何かよりも、動作を通じてもっと深い何かを見抜いていた。
筋肉反射テストでも着用時の安定感を確認していただく。安定感もバッチリだ。
筋肉反射テストの方法はこちら。この方法は、初めて方でも比較的行いやすいので是非お試しいただきたい。
そして、私の新たな相棒が決まった。名前は"HIERRO(ヒエーロ)"という。サイズは26.5cm、width(幅)はD(このモデルはDのみ)だ。
まさかのトレイルランニングシューズ。色はオレンジ。自分では選ばないであろうカラーリングだが、可愛らしい色合いをしている。
また、HIERROはHANZOが合うと言われた方にもフィットする可能性が高いという。
HANZOは現在、生産が終了し現在アウトレットモールにある直営店舗もしくはアウトレットオンラインショップでしか購入出来ないモデルとなっている。オーソティクスを作成されており、HANZOを履かれている方は是非お試しいただきたい。
個人として感じる筋肉反射テストを用いた靴選びの面白さは、この、”パルプンテ”感にある。つまり、何が起こる(反応する)か分からないのだ。マダンテしてしまう時もあれば、ベホマズンしてしまう予測不能な振れ幅が魅力なのだ。
今回はご一緒した方へのささやかなサポートをさせていただき、靴選びは無事終了。早速着用をすることに。そして解散。
”ちょっと行こうよ”
師が空腹とのことで、近くのオムレツ屋さんへ伺う。
”いらっしゃいませー。2名さまですか?”
こうして師を”独り占め”する時間は初めてかもしれない。なんだか緊張してしまうではないか。
師はラザニアオムレツ、私はボロネーゼオムレツを注文する。
卵がふわふわしていて、とても美味しい。オムレツの下にあるボロネーゼはフェットチーネで中々美味しい。
飲み物はホットのフルーツティー。飲んだことがない。
これらは普段中々口にしないものである。師は続ける。
”食べたことのないものを食べるのも、前頭前野の刺激なんだよ”
ふと久米島での時間に頭だけタイムスリップする。
師は夏合宿中、様々な食べ物を用意してくれた。
久米島産バナナ、バターナッツかぼちゃ、マンゴー、スチームオーブンでいただく久米島産さつまいも、久米島産パイナップル・・。
更に講座中の絶妙なタイミングではあの”漢”が作る絶品のチャイが供される。巨大アヒージョも思い出の一品だ。
久米島なのにジンギスカン鍋も、北海道羅臼産の極上海産物もいただいた(こちらはIn-Depth講座にて)。
これらも脳、つまり前頭前野への新しい刺激を入れる為でもあるという。
私事で恐縮であるが、知らず知らずのうちに、食べたいものではなく、体に害のない、お腹に影響を与えなさそうなものを選ぶ傾向になっていた自分にふと気がつく。
そんな、どこかに恐れを抱えた食事では、”脳幹”優位の食事となってしまうではないか。
だったら食べたことのないものは積極的に食べた方が良いし、それは前頭前野への刺激となり、はたまた廻りまわって筋肉反射テストの精度向上にも繋がることだろう。
ふと風水の話にもなった。こちらの店舗の簡易風水鑑定である。
”入口向かいに鏡。これでは鏡返しが発生してしまう”
”入口にレジがある。これは金を盗られやすいことの暗示だから、金銭的にも良くないな”
更にはあの黒門先生に関する逸話など・・。
締めには、こちらも普段頼まないであろう標高20cm程のモンブランもご馳走になる。
追加で前頭前野への刺激を与える。
こうして、贅沢な時間はあっという間に過ぎていった。
師はここでも、慶びへと繋がる太い道標、ヒントを差し出してくれた。
ご馳走様でした。
前頭前野写真館
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